全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、成田国際空港、NECの4社は2024年5月10日、顔認証による搭乗手続システム「Face Express」の利用登録を旅客のスマートフォンから行う実証実験を実施したと発表した。現状、個人情報の登録は空港内の端末でしか行えないが、オンラインチェックインと共にモバイルアプリから行えるようにすることで利便性を高める。
成田国際空港は、2021年から顔認証による搭乗手続システム「Face Express」を運用している。チェックインの際に旅客のパスポート・搭乗券・顔写真を登録することで、搭乗手続(手荷物預け、保安検査場入場、搭乗ゲート通過)を“顔パス”でスムーズに進めることができる(関連記事:成田空港と羽田空港、顔認証による搭乗手続き「Face Express」を2021年7月に開始)。
現状、Face Expressの利用登録(パスポート・搭乗券・顔写真情報の登録)は空港内の端末でしか行えない。今回、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、NECと共同で、Face Expressの利用登録を旅客のスマートフォン/モバイルアプリから行う実証実験を実施した。
「近年、旅行需要や三国間流動(日本を経由してアジアと北米間の国際線を乗り継ぐこと)の増加などで航空旅客が増え続ける中、オンラインでの搭乗手続のニーズが高まっている」(4社)ことを背景に、登場手続の効率化と利便性向上に取り組む(写真1)。
写真1:成田空港における実証実験の様子(出典:全日本空輸、日本航空、成田国際空港、NEC)拡大画像表示
開発したモバイルアプリは、ANAとJALのモバイルアプリと連携し、オンラインチェックインからFace Expressの個人情報登録までをワンストップ化する。旅客が任意のタイミング・場所で登録できるため、空港での手続きに要する手間と時間を減らし、空港スタッフの業務負担を軽減する。登録した情報は、スマホ/アプリで本人が管理し、次回以降の搭乗手続においても繰り返し利用できる(図1)。
図1:顔認証による搭乗手続「Face Express」の利用登録をスマホで行う実証実験の概要(出典:全日本空輸、日本航空、成田国際空港、NEC)拡大画像表示
実証実験は2024年3月25日~28日に実施し、4社の担当者/関係者約150人が参加した。実際にスマホからアプリを操作してFace Expressの利用登録を行い、その後の搭乗手続を体験した。
Face Expressを使わない場合と比べると、自動チェックイン機の操作(手荷物タグの発行)で所要時間が半減、手荷物預けでは搭乗券とパスポートを取り出してかざす作業が不要になり、3分の2の所要時間で済んだ。実施後のアンケートでは、参加者の98%が有用と評価。空港内の利便性やFace Expressの利用率向上に寄与することを確認している。
一方、旅客側の体験として、アプリへの誘導方法やアプリのUIなどにおいて課題が見えたという。4社は今回の結果を踏まえ、アプリの実用化に向けた改善・検討を進め、Face Expressの利用拡大に取り組んでいく。
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