[市場動向]

IFSとWAP、スウェーデンと日本のERPが連携して目指す“完全標準化”と“脱アドオン”

日本市場への注力を強めるIFSがワークスアプリケーションズと戦略提携

2024年9月10日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

スウェーデン南部のリンショーピングに本社を置き、製造業や設備産業向けのERPアプリケーションをグローバルで提供するIFS。同社は日本市場への投資拡大を表明し、2024年7月10日にはワークスアプリケーションズ(WAP)との戦略的業務提携を発表している。日本企業の業務慣習を網羅したERP「HUE」を提供するWAPとの協業・連携によって、完全標準化と脱アドオンの実現を日本企業に提案していく構えだ。

IFS─EAMを筆頭にグローバルで支持されるERP

 現在80カ国以上に事業を展開するグローバルERPベンダーのIFS。フィールドサービス管理(FSM)、エンタープライズ資産管理(EAM)、ERP、サービスライフサイクル管理(SLM)といった従来のカテゴリを横断し、統合された単一のプラットフォームをオンプレミスアプリケーションおよびクラウドサービス「IFS Cloud」として提供している。EAMについては、米ガートナーが2024年4月に発表した市場シェア調査で、米IBMや独SAPを抑えてトップとなっている。

 IFSの主要顧客は工場や発電所などの現場を持つ企業が中心で、具体的には大手製造業、航空宇宙・防衛産業、通信産業、建設業、エネルギー産業の6業界に属する企業である。航空宇宙・防衛産業など規制要件の多い業種のニーズにも応えるべく、オンプレミスアプリケーションも継続して提供している。

 IFS 最高製品責任者(CPO)のクリスチャン・ペダーセン(Christian Pedersen)氏(写真1)は、同社の直近の実績として図1を示し、堅調な成長をアピールした。

写真1:IFS 最高製品責任者(CPO)のクリスチャン・ペダーセン氏
図1:IFSの業容。2023年の収益は10億ユーロ(約1600億円)に達している(出典:IFSジャパン)
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日本市場への投資を拡大

 こうしてグローバルで好調な業績を続けるIFSが、日本市場への投資拡大の意向を表明している。同社アジア・中東地域担当 プレジデントのヴィンセント・カルバーリョ(Vincent Carvalho)氏(写真2)は、日本に投資する理由として、「製造業がGDPの10%以上を占めており、IFSのターゲットと合致していること」「多くの日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要課題とする転換点にあること」などを挙げた。

写真2:IFS アジア・中東地域担当 プレジデントのヴィンセント・カルバーリョ氏

 「IFSのERPアプリケーションは、深刻な労働力不足や設備資産管理に悩む日本企業に対し、効率性と生産性の向上を可能にする。これまでの実績がそれを示している。一方、日本企業が求める水準は高く、それに応えることは当社製品・サービスの一層の強化につながり、欧米など他の地域の企業にも大きな意味があると考えている」(カルバーリョ氏)

 当然ながら、IFS本社の日本法人への期待は大きい。IFSジャパン 代表取締役の大熊裕幸氏(写真3)は具体的なアクションプランを示した。「人材面では、社員のエンゲージメント向上や外部リソースの活用、採用活動の強化などを進める」(大熊氏)。2024年10月にはオフィスを東京・渋谷から大手町に移転し、さらなる増員を図る。また、日本向け製品のローカライズ推進、サポート、クラウド、サクセスのデリバリー能力の構築などにも取り組んでいくという。

写真3:IFSジャパン 代表取締役の大熊裕幸氏

●Next:スウェーデンと日本のERPが連携してどんな価値が生まれるのか?

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