[事例ニュース]

トヨタ自動車、知財情報を可視化するシステムを導入、開発部門みずから競合の動向を把握

日立の「特許情報分析サービス」を採用

2024年9月25日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市)は、知的財産の情報をグラフなどで分かりやすく可視化するシステムを導入し、2024年8月から運用している。日立製作所の「特許情報分析サービス」を採用し、特許業務のスキルを持たなくても、業界動向や競合他社が重要視する技術などを迅速に分析・共有できる仕組みを整えた。事前検証では、知財部門における分析作業の軽減と共に、特許の調査分析件数を増やせることを確認している。日立が同年9月25日に発表した。

 トヨタ自動車は、知的財産の情報をグラフなどで分かりやすく可視化するシステムを導入し、2024年8月から運用している。日立製作所の「特許情報分析サービス」を採用し、特許業務のスキルを持たなくても業界動向や競合他社が重要視する技術などを迅速に分析・共有できる仕組みを整備している(画面1)。

画面1:「特許情報分析サービス」の画面(出典:日立製作所)

 事前検証では、知財部門における分析作業の軽減により、特許の調査分析件数を増やせることを確認した。まずは知財部門と開発部門で実運用を始め、業務での効果的な活用方法を模索しながら、順次利用を拡大していくという。

 トヨタは、国内外での特許出願件数が約1万4000件、特許登録件数が約1万1000件で、共に国内の企業・組織において年間1位となっている(2022年実績)。グループで推進中のモビリティ社会の実現に向け、ビジネスの次の一手を検討するために、経営・研究開発・知財の三位一体の活動を目指し、経営施策と連動した知的財産活動を進めている。

 「その三位一体の活動のためには、知財部門のみならず、経営施策の立案や研究開発などに関わる人々も知財情報を活用していく必要があるが、これまでは、知財部門の特定の担当者のみが知財情報の分析にあたり、研究開発部門から上がってくる分析要望のすべてには対応しきれなかった」(同社)。そこで、特許業務の熟練度にかかわらず分析を可能にするシステムの導入に至った。

 トヨタが採用した特許情報分析サービスの特徴について日立は、特許業務の専門家・専任者でなくても業界・競合他社の研究動向の概要を把握できることを挙げている。分析したい集合データを取り込むと各観点のグラフを自動生成するほか、グラフを読み解くヒントとなるガイドを提示する(図1)。

図1:特許情報分析サービスのグラフ自動生成、ガイド表示(出典:日立製作所)
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 グラフとコメントが入ったレポートにより、関係者間での気づきの共有を容易にする。部門横断プロジェクトにおける関係者間の情報共有や、企画部門への説明などを支援する。「例えば、知財部門で調査した競合他社の特許・技術動向などのグラフデータに対し、研究開発部門が気づき事項や新製品の開発方向性、今後検討すべきリスクなどをコメント欄に記載し、まとめてレポートとして出力することができる」(日立)。

 また、以前よりトヨタでは、グループの研究・開発者1万人が日立の特許情報提供サービス「Shareresearch」を利用している。特許情報分析サービスとShareresearchの連携により、蓄積してきた社内の特許調査データを取り込み、分析までの時間を短縮できているという(図2)。

図2:トヨタ自動車におけるShareresearchの利用構成(出典:日立製作所)
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