[新製品・サービス]
Preferred Networks、チェーンストアの業務を改善するSaaS「MiseMise」を提供
2024年10月9日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
Preferred Networks(PFN)は2024年10月9日、小売業向けアプリケーション/システム構築を提供するリテールソリューション事業を立ち上げたと発表した。同日、最初の製品として、品出しなどの業務を改善するチェーンストア向けSaaS「MiseMise(ミセミセ)」の提供を開始した。同事業の販売目標は初年度10億円、3年後に100億円。
Preferred Networks(PFN)は、小売業向けアプリケーション/システム構築を提供するリテールソリューション事業を立ち上げた。最初の製品として、チェーンストアの業務を改善するクラウド型アプリケーション「MiseMise(ミセミセ)」をリリースした。
MiseMiseでは、SaaSの提供のほか、コンサルティングやシステム開発を含めたSIサービスも請け負う。ユーザー企業の店舗での運用にあたっては、事前にデータの整備や登録などの作業が必要になるが、SaaSのみであれば最短で2週間程度で利用を始められるという。
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在庫位置を管理し、品出し時に商品を探す手間を軽減
MiseMiseは5つの用途・機能別アプリケーションで構成する。(1)品出し、(2)AI値引き、(3)棚割、(4)ロボット、(5)分析である。(1)を除く4つは、発表時点ではベータ版として提供する。
(1)MiseMise 品出し(図1)
経験の有無に関わらず、簡単かつ効率的に品出しを行えるとしている。店舗内のバックルームの在庫をデータ化し、担当者が欠品商品の値札をスキャンすると在庫の場所をリアルタイムに業務端末に表示する。
在庫商品をバックルームのラックに保管する際に、AndroidデバイスのバーコードスキャナからラックのQRコードを読み取ることで、在庫商品とラックをひもづけて管理する。店舗で欠品が生じた際は、商品のバーコードスキャン/検索で、在庫情報としてどのラックに、何個の箱があるのかが分かる。
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「仕入れの受発注データやPOSデータを分析しても、現場の品出し業務は改善できない。業務が属人化しており、在庫の置き場所が分からなければ探すのに時間がかかってしまう。必要なのに欠けているという、こうした現場の課題に着目してアプリケーションを開発した」(リテール担当VPの海野裕也氏、写真1)
ユーザー事例として、北東北3県に59店舗を展開する食品スーパーマーケットチェーン、ユニバース(本社:青森県八戸市)を紹介した。
導入効果として、品出しに関連する作業を1日平均5時間削減。また、バックルームの滞留在庫(1週間で1度も補充しなかった在庫商品)を把握できたことで、2カ月で最大50%の在庫削減につながったという。
適切な値引き額の提示、自律ロボットによる欠品自動検知
MiseMise 品出し以外の4つのアプリケーションの概要は以下のとおり。
(2)MiseMise AI値引き
消費期限の短い生鮮食品・惣菜などを売り切ることを目的に、適切な値引き額を提示するダイナミックプライシングを可能にする。AIが天気などの外部情報や現在庫情報、他商品の在庫情報から需要の食い合いまでを予測して値引き額を決定する。
(3)MiseMise 棚割
商品部での棚割の作成、各店舗への配信から分析まで、棚割に関わる業務を組織横断で行うことを可能にする。販売実績と棚割データを組み合わせた分析が行える。
(4)MiseMise ロボット
自律移動ロボットが店内を自動撮影し、欠品や品薄を検知しながら棚割の実施状況を確認し、他のアプリケーションと連携する。値札の付け間違いのチェックや顧客の売場案内、万引きの抑止や商品プロモーションなどにも活用できる。
(5)MiseMise 分析
MiseMiseの各アプリケーションのデータを一元管理し、状況を分析する。作業が割り当てどおりに実行できているか、各種店舗情報(滞留在庫量、品切れ回数やその頻度)、店舗間の作業効率などを分析するAIダッシュボードなどを備えている。
Preferred Networksは、リテールソリューション事業の販売目標として、初年度10億円、3年後に100億円を掲げている。
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