リコー(本社:東京都大田区)は、国内外のリコーグループ約1万人が利用するPLM(製品ライフサイクル管理)システムを刷新し、運用している。以前運用のスクラッチ開発によるPLMシステムは、部署をまたがった情報検索/連携が困難だった。これをPTCジャパンのPLMソフトウェア「Windchill」を導入して刷新、製品/製造情報の検索性を向上させている。導入を支援した日立ソリューションズが2024年10月17日に発表した。
リコーは以前、製品開発に関する技術情報をスクラッチで開発したPLM(製品ライフサイクル管理)システムで管理していた。旧システムは部署をまたがった情報の検索や連携が困難だった。また、情報の可視化に使っていたデータ分析/レポート作成ツールの老朽化によりメンテナンスが困難という課題を抱えていたという。
旧システムにまつわる課題を解決すべく、2018年にPLMの刷新プロジェクトに着手。国内外の設計・製造拠点での利用、約1万人という規模の利用にたえるスケーラビリティなど、同社の要件を満たすPLMソフトウェアとして、PTCジャパンの「Windchill(ウィンチル)」を選定。日立ソリューションズの支援の下で導入し、2021年3月に新PLMシステムとして運用を開始した(図1)。
新PLMシステムでは、設計BOM、製造BOM、サービスBOMを統合した統合BOMを構築し、生産・サービスシステムと連携。工程をまたがった検索・連携を容易にして製品/製造情報の検索性を向上させている。
2023年10月には、現場での情報可視化ニーズに応えるため、PTCの産業IoTプラットフォーム「ThingWorx(シングワークス)」を導入。コストや在庫情報をBOMの情報と合わせて1画面で見られるようになり、老朽化したデータ分析/可視化ツールのメンテナンスが困難だった問題を解消している。
「製造業において製品ライフサイクル管理は重要課題の1つ。業務効率化と生産性向上、迅速な開発のために、PLMに注目が集まっている。製品企画から生産までの情報を一元管理して共有することで、業務効率を改善したり、市場ニーズへの変化に迅速に対応したりできるようになる」(日立ソリューションズ)