東京証券取引所は2024年11月5日、株式売買システム「arrowhead」を5年ぶりに刷新し、「arrowhead4.0」として運用を開始した。新システムでは、市場の利便性を向上させる機能を導入したほか、取引終了時刻を15時00分から15時30分に30分延伸した。r耐障害性も高めた。
東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead(アローヘッド)」は、2010年1月に稼働開始した初代から約15年間稼働している。2代目(2015年9月稼働)と3代目(2019年11月を経て、2024年11月5日に4代目となる「arrowhead4.0」を稼働開始した(図1、関連記事:東証が株式売買システム「arrowhead」を刷新、注文応答時間は0.3ミリ秒から0.2ミリ秒に短縮)。
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今回、arrowheadを5年ぶりに刷新し、5代目として「arrowhead4.0」の運用を開始した。リニューアルでは、市場の利便性を高める機能として、終値形成における透明性の向上を目的としたクロージング・オークション機能、相場情報を注文ごとに配信する相場情報サービス、ユーザー単位で複数の注文を一括で取り消す機能などを追加。また、取引機会を拡大するため、東証の取引終了時刻を15時00分から15時30分に30分延伸している。
従来システムと同様、インメモリー型で動作する富士通のデータ管理プラットフォーム「FUJITSU Software Primesoft Server」を採用。処理に必要な全データをメモリー上に配置することで、データアクセスの高速化を図っている。
メモリー上に配置したデータは、3重化した待機側サーバーに常時ミラーリングすることでデータの保全性を確保している。今回の刷新では、システムの再立ち上げをともなう障害回復時間を短縮。合わせて、arrowhead4.0が提供するサービスの正常性を可視化する監視画面を構築している。
システムは、富士通グループのエフサステクノロジーズが開発・提供するPCサーバー「PRIMERGY RX2540 M6」(写真1)462台で構成する。従来システム(PRIMERGY RX2540 M4を400台)と比較してシステム性能を高めている。また、ログデータの蓄積・分析と取引の一部機能をシステム上で疎結合とすることで、市場運営の信頼性を高めると共に、市場データをより柔軟に分析できるようにしている。
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