[ユーザー事例]
異業種共創のリアル─“JTC×スタートアップ”の3社協業で、キーパーソンが明かす成功の秘訣
2025年4月28日(月)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
事業環境の加速度的な変化に対応するために、自社にない知見や技術、人材を求めて組織間の共創に取り組む企業が増えている。JTC(伝統企業・既存企業)にとっては特にスタートアップの先鋭的な発想や技術力、機動力は、新たな製品開発や市場開拓の武器となりうるが、それらを生かす共創のあり方とはどのようなものか。2025年2月に開催された「Manufacturing Japan Summit」(主催:マーカス・エバンズ・イベント・ジャパン・リミテッド)のパネルディスカッションに、スタートアップのベルデザインおよび協業したコイズミ照明、象印マホービンのキーパーソンが登壇。共創の狙いや成果、取り組みのポイントについてディスカッションを繰り広げた。
事業環境の急激な変化や顧客ニーズの多様化に対応すべく、新たに事業を立ち上げようにも、企業・組織が自社1社の力で取り組むのには困難が伴う──他の企業・組織と手を組む協業・提携や共創は、こうした状況を打開する策の1つである。各社が個々に持ちえなかった経験・知見・技術、そして人材が結集することで、新規ビジネスの創出や市場の開拓、組織の成長が可能になる。
昨今、実績や歴史を持つJTC(伝統企業・既存企業)が先鋭的な技術力や迅速な意思決定などを強みとするスタートアップと手を組むケースは、大企業を中心に多い。一般社団法人日本能率協会による2022年の調査では、従業員3000名以上の大企業のうち4割がスタートアップと協業していると回答。支援・交流している企業を含めるとその割合は6割に迫る。このうち、製造業では8割以上が技術提供・技術交流を目的に連携しているという(図1、図2)。

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Manufacturing Japan Summitで登壇した、ベルデザイン、コイズミ照明、象印マホービンの3社による協業は、まさに技術提供を軸としたイノベーション創出の試みの典型例だ。
パネルディスカッションの司会をエリコンジャパン バルザース事業本部 シニアアドバイザーの田岡秀樹氏(写真1)が務め、製造業の未来を切り開くための協業・共創とその実現の秘訣をテーマに、3社のキーパーソンが持論を持ち寄りながら、共創の狙いや成果、取り組みのポイントについてディスカッションを展開した。
●Next:3社共創プロジェクト、各社が持ち寄った強みと成果は?
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