[調査・レポート]

自社の仮想化環境について75.5%が何らかの変更を検討─IDCの国内ITインフラ支出動向調査

ITインフラ投資に期待する成果は生産性向上、コスト削減、事業運営効率化

2025年4月16日(水)IT Leaders編集部

IDC Japanは2025年4月15日、国内におけるITインフラ支出動向を調査・分析した結果を発表した。ITインフラ投資に期待している成果は、従業員の生産性向上、コストの削減、事業運営の効率化が上位3項目を占めている。ITインフラ投資で重視する項目として、サイバーセキュリティ対策の強化が2024年の調査に引き続き最上位となった。また、回答者の75.5%が仮想化環境について何らかの変更を検討していることがわかった。

 IDC Japanは、国内におけるITインフラ支出動向について調査・分析し、その概要を発表した。調査は2025年3月、国内企業/組織におけるITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与する回答者548人を対象に実施した。

 ITインフラ投資に期待している成果は、「従業員の生産性向上」「コストの削減」「事業運営の効率化」が上位を占めた。2024年調査と順位は変わらないが、2025年は不確実性の高まりを背景に、「ビジネスリスクの軽減」や「ビジネスレジリエンシーの改善」を重視する割合が高まっているという。

 ITインフラ投資で重視する項目は、「サイバーセキュリティ対策の強化」が2024年調査に引き続き最上位となった。前回と比べて、「ITインフラの迅速な構築や拡張」「マルチクラウドにわたる統合管理ツール」「as a ServiceモデルでのITインフラの利用」を重視する傾向が見られる。

 AIワークロードのためのITインフラとして、アクセラレーターを採用したIaaSのAI向けインスタンスを利用する意向が前回に引き続いて強い。「生成AIの学習用途では、パブリッククラウドを利用する意向が70.9%と最も高い一方、ファインチューニングの用途では専有型ITインフラを利用する意向も29.5%に達する。また、推論用途では専有型ITインフラとエッジの利用意向が20%弱と同程度の水準である」(IDC)。

図1:生成AIに専有型ITインフラやエッジを利用する理由(出典:IDC Japan)
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 図1は、生成AIに専有型ITインフラやエッジを利用する理由を尋ねた結果だ。「コストの抑制や支出の見通しの立てやすさ」「大容量データ管理の容易さ」「データを外部に持ち出さなくてよい点」が上位を占めている。生成AIのユースケース別に見ると、ITオペレーション、エンジニアリング/研究開発、マーケティングなど、業務に密接したユースケースで専有型ITインフラを利用する意向が顕著である。

7割強の国内企業が仮想化環境の変更を検討

 2023年11月に米ブロードコム(Broadcom)が仮想化製品最大手の米ヴイエムウェア(VMware)の買収を完了した後、サーバー仮想化製品をはじめとする製品ラインアップの整理統合、永続ライセンスの廃止とサブスクリプションモデルへの完全移行、そして大幅な価格改定が行われた(関連記事米ブロードコムによる米ヴイエムウェアの買収が完了、ソフトウェア事業をVMwareブランドに統合)。

 これにより、既存のVMware仮想化環境を利用し続ける場合のコスト増大やライセンス管理の複雑化を懸念する企業が増加。特に、これまで永続ライセンスを利用してきた企業にとっては、サブスクリプションへの移行が大きな負担となる可能性があり、多くの企業でこの問題への対処に苦慮する声が聞かれる。

●Next:企業は今後、仮想化環境にどのような方針を持っているか

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