矢野経済研究所は2025年4月21日、国内における人事・総務関連業務アウトソーシング市場の規模と動向を発表した。2023年度の市場規模(主要14分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比5.9%増の11兆6631億円だった。間接業務を社内に残したくないという丸投げ需要の拡大が市場成長の追い風になっている。
矢野経済研究所は、国内における人事・総務関連業務アウトソーシング市場の規模と動向を発表した。2023年度の市場規模(主要14分野の合計)は、事業者売上高ベースで前年度比5.9%増の11兆6631億円だった(図1)。

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以下は分野ごとの規模で、人材関連業務アウトソーシング市場が市場全体の8割超を占めている。
- シェアードサービス市場(シェアードサービスセンター、学校法人業務アウトソーシング)は、前年度比1.9%増の5780億円
- 人事業務アウトソーシング市場(給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サー ビス、採用アウトソーシング、アセスメントツール)は、前年度比4.8%増の1兆655億円
- 総務業務アウトソーシング市場 (従業員支援プログラム、健診・健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス)は、前年度比4.1%増の3040億円
- 人材関連業務アウトソーシング市場 (人材派遣、人材紹介、再就職支援)は、前年度比6.3%増の9兆7156億円
丸投げ需要の拡大が市場成長の追い風に
矢野経済研究所は、市場の注目点として、アウトソーシングサービスの導入範囲に関して、「企業の間接業務の一切を社内に残したくない」「社内の人的リソースを一切使いたくない」という、アウトソーシングサービス事業者に業務を丸投げする傾向が年々高まる方向にあると指摘している。
「以前から行われてきた業務システムのアウトソーシングに加えて、BPO業務を外注化する動きが活発化している。戦略人事の観点からシステムとBPOを組み合わせて業務の最適化を図るようになっている」(同社)
また、同社によると、大企業へのアウトソーシングサービスの導入が一巡しているような分野では、営業アプローチの矛先が大企業から中堅・中小企業にシフトするなど、サービス導入対象の裾野が拡大している。このことがマーケット拡大の強力な追い風となっているという。
「近年の大きな動きとしては、社員による内製化を主体としてきた日系の大企業において、ベテランの人事担当者の定年退職に合わせて外注化機運が高まっている」(同社)
加えて、既にアウトソーシングサービスを導入している企業のリピート発注や、提供サービス内容の深耕、中堅・中小企業を中心としたアウトソーシングサービス未導入企業まで、サービス需要の裾野が拡大している。