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2024年の国内BPO市場は前年比3%の微増、カスタマーケア領域は生成AIと競合─IDC

2025年5月2日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

IDC Japanは2025年5月2日、国内BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス市場の動向と予測を発表した。2024年は前年比3.0%増の9943億円と微増。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は4.1%で、2029年には1兆2169億円に達すると予測している。同市場のうち、最も低い成長率となったカスタマーケアBPOサービス市場については、AIを活用した製品・サービスの台頭がBPOサービスの競合となって成長率に影響したという。

 IDC Japanは、国内BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス市場の動向と予測を発表した。2024年は支出額ベースで前年比3.0%増の9943億円と微増。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は4.1%で、2029年には1兆2169億円に達する見込みという(図1)。

図1:国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場における支出額の予測:2024年~2029年(出典:IDC Japan)
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 IDCは同市場の背景として、国内企業の業務プロセス変革の進展、サービス価格の上昇、地政学リスクの高まりなどによる、企業の業務拠点の国内回帰を挙げている。以下は、サービスセグメント別(人事、カスタマーケア、財務/経理、調達/購買)の動向である。

  • 人事BPOサービス市場:大企業の業務拠点の国内回帰に伴う需要拡大や人手不足を背景に中堅・中小企業でも支出が拡大した。加えて、人的資本経営や人手不足の下での従業員定着化に向け、福利厚生BPOサービスの利用で福利厚生の充実を図る動きが見られた。
  • カスタマーケアBPOサービス市場:人手不足を背景とした需要拡大やEC事業の緩やかな拡大が市場を促進した一方、2023年に続いて国策関連業務の縮小が見られた。加えて、生成AIを含むAIを活用したBPOの代替製品・サービスの台頭が阻害要因として影響し、サービスセグメント別では最も低い前年比成長率となった。
  • 財務/経理BPOサービス市場:単純な記帳代行を主体とするサービスでは継続的な需要低下が見られるものの、大企業における業務拠点の国内回帰によるサービス需要の拡大や包括的なバックオフィス業務変革への取り組みが成長をもたらした。
  • 調達/購買BPOサービス市場:国内経済の回復基調の中で、大企業を中心に間接材のトランザクション型サービス需要が拡大したほか、準大手・中堅企業でも需要の回復が見られた。

 2025年以降の国内BPOサービス市場についてIDCは、国内企業のデジタルビジネス化が進む中で、アウトソーシングすべきビジネスプロセスの明確化が進み、市場は継続的に拡大すると見ている。

 「加えて、AI活用の進展がサービスの供給力と付加価値の向上をもたらし、国内BPOサービス市場全体の促進要因になる」(同社)。ただし、カスタマーケア領域では、自然言語処理を特徴とする生成AIとの親和性が高いことから、生成AIを組み込んだ製品・サービスとの競合が強まる可能性があると指摘している。

 今回の発表は、同社のレポート「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測、2025年~2029年」に基づく。レポートでは同市場を上記4つのサービスセグメントに分類し、2029年までの市場規模予測を示している。

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