[調査・レポート]
AIシステム基盤への需要増で、国内ITインフラサービス市場は2029年まで年平均6.2%で成長─IDC
2025年5月20日(火)IT Leaders編集部
IDC Japanは2025年5月19日、国内ITインフラストラクチャサービス市場の予測結果を発表した。2024年の市場規模は2兆2685億円で、2029年には3兆674億円となる見込み。2024年から2029年の年間平均成長率(CAGR)は6.2%で推移する。
IDC Japanは、国内のITインフラストラクチャサービス市場を予測した結果を発表した。2024年の市場規模は2兆2685億円で、2029年には3兆674億円となる見込み。2024年から2029年の年間平均成長率(CAGR)は6.2%で推移する(図1)。

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調査にあたって、ITインフラサービスを「企業などが利用するサーバー、ストレージ、ネットワークなどのITインフラに関するコンサルティング、設計、構築、運用、保守サービス」と定義している。同市場は、エンタープライズ(官公庁、金融、製造、流通など)とサービスプロバイダー(コンテンツ配信、ソーシャルメディア、ゲーム、各種オンラインサービス、インターネットサービスなど)で顧客が存在し、それぞれサービス利用の特徴が大きく異なるとしている。
インフレや技術者不足を背景にしたITハードウェア価格や人件費の上昇に伴い、インフラの保守運用サービス価格が上昇しているという。IDCは2024年7月にも同市場の予測値を発表したが、特にその後のハードウェア保守価格の上昇により、今回の調査では予測を引き上げている。
同社によると、これまでは、ITインフラのクラウド移行で保守サービスが不要になるため、保守サービス市場の縮小が加速していたが、2025年以降はクラウド移行が一巡しつつあり、保守サービス縮小に歯止めがかかっているという。
「エンタープライズでは、ユーザー組織が個別にITインフラ製品を導入するよりも、クラウドで提供されるITインフラ機能を利用することが増えている。それでインフラコストを抑えられるためだ。一方、サービスプロバイダーでは、ユーザー数の拡大に応じるためにITインフラの規模を増加させており、インフラ支出は拡大している」(IDC)
これらを踏まえて、IDCは同市場のCAGR(2024年~2029年)について、全体は上述の6.2%、エンタープライズ向け市場が5.2%、サービスプロバイダー向け市場は10.1%と算出している。
同社Software & Services リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、生成AIの利用に関心が高まり、AIインフラの導入が進んでいると指摘する。「AIインフラの保守運用市場は成熟には至っていないが、今後AIインフラの導入が拡大するにつれ、保守運用市場が広がる可能性がある」という。
今回の発表は、同社のレポート「国内ITインフラストラクチャサービス市場予測、 2025年~2029年:サービスタイプおよびインフラタイプ別」に基づく。同レポートは、サービスの種類やインフラの種類別の予測も掲載している。