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[調査・レポート]

リモートワークを完全廃止した日本企業が22.6%、コロナ禍の時期から10ポイント増─ガートナー

2025年8月1日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ガートナージャパンは2025年7月31日、日本企業におけるリモートワークの実施状況に関する調査結果を発表した。2025年4月の調査結果を見ると、「リモートワークをまったく実施していない/実施予定はない」企業は22.6%で、コロナ禍の時期から10ポイント増加となった。「全社員の50~80%程度がリモートワークを実施している」企業はコロナ禍の49.3%から32.3%に減少している。

 ガートナージャパンは2025年4月、日本企業を対象にリモートワークの実施状況を調査した。リモートワークを継続しているものの、対象者は絞られる傾向にあるという(図1)。

図1:日本企業におけるリモートワークの実施状況(出典:ガートナージャパン、2025年7月)
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 2025年4月の調査結果をコロナ禍の時期(2020年4月~2022年)と比べると、「リモートワークをまったく実施していない/実施予定はない」企業は12.6%から22.6%に増加し、「全社員の50~80%程度がリモートワークを実施している」企業は49.3%から32.3%に減少した。

 リモートワークを完全に廃止することについて、ディレクター アナリストの針生恵理氏は、「従業員のワークライフバランスの損失と優秀な人材獲得機会の喪失、働き方の多様性を求める社会の潮流からの逆行となる可能性もある」と指摘する。

 2025年4月に実施した別の調査では、従業員が会社に勤務するうえで重要と思うものとして、「報酬」と「仕事の充実」に次いで「ワークライフバランス」が挙がった。「リモートワークにはコミュニケーションの問題や組織文化の維持の難しさといった課題も存在するが、こうした課題の克服こそが経営者とデジタル部門の腕の見せどころである」(針生氏)。

 ガートナーは、企業がリモートワークを検討する際に考慮すべき点を3つ挙げて、次のように説明している。

全社一律ではなく、チームや個人の適性に応じた柔軟な制度設計を行う
 柔軟な制度設計は、従業員の自律性を尊重し、それぞれの働きやすい環境を主体的に選択できる組織文化を醸成することにもつながる。会社全体のガバナンスや平等を貫くために、全社一律で出社日を決めることはあまり意味がない。

従業員のパフォーマンスとエンゲージメントへの影響を考慮し、最適なバランスを追求する
 従業員の声を継続的に集め、働き方が業務成果やモチベーションに与える影響を可視化し、バランスの取れた制度設計を行うことが重要。デジタル部門は、テクノロジやツールの活用や使い方を提案することで、より良いコミュニケーションをサポートし、従業員が孤立せず会社とのつながりを感じながら最大限の能力を発揮できるIT環境を目指す必要がある。

特定の事情を持つ従業員だけでなく、より広範な従業員が選択できる制度とする
 企業には、出社やリモートワークの選択肢を提供することが、従業員のウェルビーイング向上と持続的な企業成長に寄与するという視点が必要。従業員が自身のライフステージや働き方に合わせて最適な選択ができるような環境を提供することが重要である。

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