[市場動向]

NTT、問い合わせ対応時の熟練者のノウハウを視覚化するAI技術を開発

コールセンター業務の属人化を解消へ

2025年8月5日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NTTは2025年8月1日、問い合わせ対応における熟練者のノウハウを視覚化するAI技術を開発したと発表した。セキュリティ事故対応やコールセンター業務における問い合わせ履歴を大規模言語モデル(LLM)で分析し、熟練者の判断プロセスを抽出する。これをAIに取り込めば自動応答が可能になる。

 NTTは、問い合わせ対応における熟練者のノウハウを視覚化するAI技術を開発した。セキュリティ事故対応やコールセンター業務における問い合わせ履歴を大規模言語モデル(LLM)で分析し、熟練者の判断プロセスを抽出する。これをAIに取り込むことで自動応答を実現する。

 開発した技術は、テキスト化した問い合わせ履歴からLLMを用いて「質問」と「提案」を抽出し、同一内容を統合してリスト化する。その後、対話内容を質問リストおよび提案リストと照合しながら、質問から回答、提案に至る組み合わせのフローを構造化する(図1)。

図1:問い合わせ履歴をLLMを使って構造化する処理の概要(出典:NTT)
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 「質問1で「はい」と回答した後、質問7で「いいえ」と回答した人がいたので、提案4を行った」といったフローを用いて説明している。最終的に、フローに出現する遷移パターンを頻度順に整理し、出現回数が多いものが上位となるようなツリー構造の質問・判断フローチャートを生成する(図2)。

図2:構造化した対話フローを基に質問・判断フローチャートを生成する流れ(出典:NTT)
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 同技術の精度を確認する検証に、自然言語処理の評価用の公開データセット「FloDial」を利用。FloDialの問い合わせ履歴から作成したフローチャートと正解フローチャートを比較したところ、質問・提案のツリー構造を約9割の精度で再現できることを確認したという。

 今後は、実業務の問い合わせ履歴を対象に、情報欠落や対話の飛躍がある場合でも利用可能となるように精度向上を目指す。また、フローチャート形式で抽出した判断プロセスは人手での修正が容易なため、業務ノウハウ継承だけでなく、問い合わせ対応を自動化する用途にも活用できるとしている。「システムの応答根拠が明確になることで、より安心して自動応答システムに業務を任せられるようになる」(同社)。

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