[調査・レポート]
“DXしなくなる企業”が生き残る? IIJのレポートが示す「デジタルが日常に根づく組織の条件」
2025年9月5日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)
インターネットイニシアティブ(IIJ)は2025年8月18日、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進における人材・組織の実態と成功要因を調査分析したレポート「“DXしなくなる企業”が生き残る─日常にデジタルが根づく組織文化とは」を公開した。レポートでは、IIJのデータと情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標」に基づく成熟度レベルを相関分析し、デジタル活用に成功している企業に共通する“人材と組織の特徴”を明らかにしている。
DX文化が定着した企業はわずか1.3%
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進における人材・組織の実態と成功要因を調査分析したレポート「“DXしなくなる企業”が生き残る─日常にデジタルが根づく組織文化とは」を公開した。
同レポートは、IIJが提供する「IIJ DX人材アセスメントソリューション」の受検企業65社・約3100人のデータを基に、日本企業のデジタル活用の実態を分析したもの。DX人材アセスメントソリューションは、Webテスト(ITテスト・DXテスト)を通じて社員のDX適性を診断し、独自開発のAIエンジンにより、「イノベーター分類」「ITリテラシー」「思考特性」の観点で社員を分析。DX推進に必要な人材の適性や最適な配置を可視化する。
レポートでは、これらのデータを独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標」に基づく成熟度レベルと相関分析し、デジタル活用に成功している企業に共通する“人材と組織の特徴”を明らかにしている。
2019年7月に公開されたDX推進指標は、企業・組織のDX成熟度レベルを「未着手」のレベル0から、「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」のレベル5まで定義している。
IIJのレポートでは、成熟度レベル4『全社戦略に基づく持続的な実施』以上をDX文化が定着した企業とみなしている。同社インテグレーション事業本部 プロフェッショナルサービス第一本部 デジタルイノベーション部長 中津智史氏(写真1)は次のように説明する。「成熟度レベル4以上に該当するDX文化が定着した企業は、DXを意識してデジタルをことさらに推進するという意識はほとんどなく、事業の改善や新規立ち上げにおいて、デジタルをごく自然に活用している」。
踏まえて、レポートのタイトルにある“DXしなくなる企業”とは、DXのカルチャー(文化)が定着した、DX成熟度レベルの高い企業のことを指している。しかし、成熟度レベルの分布を見ると、このレベルに到達できている企業はわずか1.3%だ。「この数値は極めて衝撃的なものであり、ごくわずかな企業しかデジタルを当たり前に活用できる状態まで成熟していないことを示している」(中津氏)。

●Next:DX文化が定着した/しない企業の違い、IPAとIIJのデータ比較から見えた特徴
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