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顔認証で商業施設の納品受付を無人化する実証実験、省人化とセキュリティを両立─ワールドサプライ

初回登録のみで“顔パス”によるハンズフリーの入退館が可能に

2025年9月1日(月)IT Leaders編集部、日川 佳三

物流会社のワールドサプライ(本社:東京都江東区)は2025年8月29日、顔認証システムによる無人納品受付の実証実験を行うと発表した。画像認識/映像生成AIのスタートアップ、ナブラワークスと共同で、2025年9月1日~26日の約1カ月間、千葉県内の大型商業施設において実施する。

 SGホールディングスグループの1社で、百貨店・大規模小売店向けの納品代行や館内物流などの事業を営むワールドサプライ。同社は、画像認識/映像生成AIのスタートアップ、ナブラワークスと共同で、顔認証システムによる無人納品受付の実証実験を行う。2025年9月1日~26日の約1カ月間、千葉県内の大型商業施設で実施する(写真1)。

写真1:実証実験に使用するデモ機。帽子やサングラスを装着していても顔認証が可能(出典:ワールドサプライ)
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 ワールドサプライによると、商業施設の納品受付は地下搬入口などの暗く混雑した環境で行われることが多く、紙台帳やICカードの手渡しによるアナログ管理が主流だという。本人確認の不確実性や受付渋滞によるドライバーの待機時間など、セキュリティと業務効率の両面で課題を抱えている。

 こうした現場の声を踏まえて同社は、商業施設での館内配送などを請け負うFLSFacility Logistics Support:施設後方支援)事業の一環として、ナブラワークスのAI顔認証技術を活用した無人納品受付システムの実証開発に着手した。

 顔認証による無人納品受付システムでは、初回登録のみで、いわゆる“顔パス”によるハンズフリーの入退館が可能になる。施設の省人化・セキュリティ強化とドライバーの負担軽減を同時に実現することを目指している。合わせて、物流2024年問題にも対応しうる、新たな受付インフラの可能性を検証する。

 検証する顔認証システムの特徴として、地下搬入口など照明環境が整っておらず、人の出入りが多い場所においても高精度に個人を特定できる。マスク着用や複数人が同時に映り込む状況でも安定して認識するという。また、ハンズフリー認証により、荷物を抱えながら毎回同じ情報を手書きするドライバーや作業員の負担を軽減すると共に、記帳待ちの行列を解消する効果にも期待する。

 実証実験では、顔認証受付システム、ICカード管理システム、受付管理システムの3つを用いて、商業施設の管理仕様に合わせて顔認証結果により自動的に入館証(ICカード)を貸し出す仕組みをとる。将来的には、ICカードも不要な顔パスによる完全ハンズフリー化を目指す。以下の観点で、顔認証システムの有効性を検証する。

  • 認証精度や受付スピード
  • 不正入館防止とログ記録の信頼性向上
  • 従来比での受付業務の省人化・効率化
  • ドライバー拘束時間の削減による労働環境改善

 「物流の現場は効率と安全性の両立という難題に直面している。今回の実証実験は、当社が長年培ってきた現場オペレーションの知見と、ナブラワークスの革新的な技術をかけ合わせ、未来の物流環境を共に創造する第一歩となる。取り組みを通じて、現場に根ざしたスマート物流の実現を目指していく」(ワールドサプライ 代表取締役社長の梅木淳氏)

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