Web 2.0提言書:参考資料 XML Consortium会員企業によるWeb2.0についてのアンケート
2007年7月24日(火)XMLコンソーシアム
ここに、2006年の暮に実施した、XMLコンソーシアムのアンケート結果がある。XMLコンソーシアム会員アンケート結果
そもそも、このアンケートは、XML、Webサービス、SOA等についての知名度、普及度、適用領域、利用状況について、“定点観測”を行う目的で例年実施しているものである。したがって、各年にまたがり、また、テーマを横断しながら極力設問を固定して、一律の回答を会員企業にお願いするのが伝統であった。
しかし、Web 2.0については、事情が異なっていた。パラダイムシフトと呼んでも良い変化を感じるメンバーもある一方で、そもそも技術じゃないのではないか、エンタープライズには関係ないのではないか、実体が不明、といったとらえかたが2006年時点ではまだ主流ではないかと思われたからである。そこで、他テーマと違えて、次の設問をとることにした。
21. Web 2.0に関する社内の理解状況
選択肢:「内容をよく理解している人が多い」~「Web 2.0という言葉を知らない人が多い」
22. Web 2.0は、どの分野の話題だと思われますか?
選択肢:「経営」、「マーケティング」、「技術」、「その他」
23. Web 2.0と聞いて、何をイメージするか?
選択肢:「ユーザー主導型のビジネスモデル」、「ユーザー参加型のシステム/アーキテクチャー」、「ユーザーが生成するメディア/コンテンツ」、「リッチなユーザーインターフェイス」、「マッシュアップ」、「フォークソノミー」、「オープンソースやオープンAPI」、「分散志向」、「データの重要性」、「その他」
24. Web 2.0を適用してみたい対象領域は?
選択肢:「アプリケーション間の連携」、「業務プロセス間の連携・統合・制御」、「企業内でのサービスの共有・連携」、「企業間におけるサービス共有・連携」、「顧客接点の改善,顧客参加型商品開発,マーケティング」、「業務・事業の統廃合,新事業推進(技術,ビジネスモデル)」、「その他」
この設問についてのアンケート結果を、上記リンク先から引用する。
XMLコンソーシアム会員企業が、エンタープライズにおけるWeb 2.0の適用対象を真剣に検討している様子が浮かび上がってくるようである。
25. Web 2.0のどの「原則」、側面が御社のビジネスにとって重要または有用と考えられるか?
選択肢:「AJAX 等リッチなユーザ経験の利用」、「BLOG, SNS 等による集合知の活用」、「REST, RSS 等の軽量なプログラミングモデルの利用」、「プラットフォームとしての Web の利用」、「携帯端末やテレビ等様々なデバイスの活用」、「その他」
26. Web 2.0的なサービスを導入する場合にリスクと思われるものは?
選択肢:「データ保全」、「個人情報を中心とするコンテンツの流失や別目的利用」、「ユーザによる著作権違反に起因するリスク」、「他社製WebAPIやリソースの永続性不安」、「他社製WebAPIやリソースの価格決定権がないこと」、「バージョン管理、動作保証の困難さ」、「社内体制がサービス化に追随できないことによる運営ミス」、「内部統制、コンプライアンスに逆行するのではないか」、「その他」
なぜXMLコンソーシアムがWeb 2.0か、と現時点で改めて自問自答してみると、第1回勉強会の案内文に書いた2点の他に、アンケートへの自由回答に寄せられた次のコメントが参考になる。会員企業が希望する活動テーマである:
- Web 2.0で急速に使用されてきているXMLについて具体的なXMLの効果がビジネスにどのように直結してくるかをテーマに取り上げて頂けるとありがたい。
- Web 2.0のエンタープライズ向けソリューションをテーマにして欲しい。
- マッシュアップ関連技術の調査。
- Web 2.0についてビジネス面からの取り組みを進めていきたい。
- Web 2.0時代のナレッジ・マネージメント。
- Web 2.0の日本市場における動向。
- Web 2.0をもっと詳細なものにしたらどうかと思う。ATOMやRESTといった技術をSOAPからの移行などを含めて見る。またXMLをそのまま使わないJSONといった脱XMLの動きなどにも注目したらどうであろうか。
この他、2007年のトレンドとして、前年までに一般論、BtoCで喧伝されてきたWeb 2.0の技術や考え方を各業界個別に応用した“Web 2.0各論”を期待する向きもあった。
いずれにせよ、Google APPsやSalesforce.com(SaaS)という黒船も手伝って、国内外で、2007年はエンタープライズにWeb2.0的なサービスを導入するという動向が鮮明になってきた。仮にWeb 2.0という言葉は年央から後半にかけて使われなくなっていったとしても、細粒度でシンプルで極めて短時間で低コストで導入の可能なマッシュアップ的な手法がすたれることはない、と予想している。
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