日本ユニシスは2009年9月4日、ニコンの「新原価計算システム」を構築し、稼働開始したと発表した。同システムは、ニコンが経営計画の中で推進するコストマネジメント力強化の一翼を担う、収益管理の基盤システムとなる。
精密機器大手のニコンの従来の原価計算システムは約30年前にホストコンピュータ上で構築されたシステムのため、老朽化しブラックボックス状態となっており、システムの見直しは困難な状態だった。
ニコンはシステムのダウンサイジングと承認権限管理などJ-SOX法に対応するため、原価計算システムの再構築プロジェクトを立ち上げ、既存システムの見直しに着手した。日本ユニシスは、システム構築パートナーとしてプロジェクトに参画し、1年間の要件定義フェーズで3,500本のプログラムと900種類の帳票をもつ原価計算システムのスリム化検討を行い、約300帳票まで機能を削減・統合化することに成功した。
日本ユニシスの十分な要件定義により、構築期間10ヶ月という短期間で、2009年5月からオープン環境による「新原価計算システム」を部分稼働させ、7月から決算処理まで含めて本格稼働を開始した。ニコンにおいて過去2回断念された「ホストシステムからの脱却」を実現したことにより、原価計算における処理時間の大幅な短縮と精度の向上を実現した。
今回稼働したニコン「新原価計算システム」の特徴は以下のとおり。
- 原価情報の日次化、原価の見える化により、コストマネジメント力強化に貢献
・これまで月次で公開していた原価情報を日次で公開することで、コスト発生状況の迅速な把握により無駄なコストの抑制に繋げるなど、よりきめ細かなコストマネジメントを実現。
・これまで紙の帳票で配布していた原価情報をデータ公開し、必要な社員すべてに「見える化」。タイムリーなデータ公開、検索性の向上により、コストマネジメントを強力に支援。
・投資家への経営情報の迅速な開示(ディスクロージャ)によるIR(Investor Relations)情報の充実。 - J-SOX法への対応強化
・職務権限に応じた個人別での情報公開制御により、J-SOX法に基づく内部統制構築を支援。アクセス権限に応じた原価情報の公開やデータ変更の許可管理を実現。 - 独自要件にきめ細かく対応したシステムを短期間で構築
・充分な要件定義と、日本ユニシスのDWH構築支援ツールMartSolutionの活用により、既存のパッケージソフトウェアでは対応困難なシステム要件に独自システム開発で対応し、10カ月という短期間で稼働を実現。
・MartSolutionをベースに、アクセス権限に応じた操作しやすいポータル画面を提供。約200帳票について高速な検索を実現。
ニコンは、同システムを基盤に、今後、連結ベースのコストマネジメント力強化、個別製品の原価管理力強化、および月次確定の早期化/連結の早期化などの経営課題への取り組みを開始している。
日本ユニシスは、今回のプロジェクトにおける経験とノウハウをもとに、製造業の原価管理分野におけるシステム構築を積極的に提案していくという。
日本ユニシス
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