シンクタンク・コンサル事業の拡大と、製造・サービス業の顧客拡大がカギ[三菱総合研究所 証券コード3636]
2009年12月21日(月)長橋 賢吾(フューチャーブリッジパートナーズ 代表取締役)
2009年最大規模の新規株式上場(IPO)が、9月の三菱総合研究所(以下、三菱総研)だ。上場して1カ月半ほどだが、株価の値動きは芳しくない。9月14日の上場初日に3220円の高値をつけた後、一貫して下落基調。11月9日の終値は2215円と初日に比べて31%下落した。背景には何があり、今後はどうなのか、同社の業績動向を追いながら考えてみよう。
三菱総研の特徴
三菱総研は1970年、三菱グループの100周年記念事業として三菱銀行(現在、東京三菱UFJ銀行)、三菱商事、三菱重工などが出資してシンクタンクを創立したところから始まる。
シンクタンクとしては、ほかにも野村総合研究所、大和総研、みずほ情報総研などがあるが、三菱総研は、(1)官公庁向けの受託研究・調査の割合が高い(全社売上高のおよそ20%が官公庁向け)、(2)上記3社はシンクタンク・コンサルティング事業をシステム開発拡大のためのドア・オープナーと位置付けているのに対して、三菱総研の場合は、シンクタンクは基本的には独立、といった違いがある。
図1に示すように、野村総研の売上高コンサルティング比率がおよそ10%に対して、三菱総研のそれはおよそ30%と、シンクタンク・コンサルティング事業の割合が高い。
シンクタンクとITを2本柱に
三菱総研のシンクタンク・コンサルティング事業は、09年9月期実績では売上高204.7憶円、営業利益は22.6億円、営業利益率では11%と収益性も高く、マザー事業として同社の中核的な位置付けである。
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