セールスフォース・ドットコム(SFDC)は2009年12月15日、Force.comの「OEMパートナー・プログラム」を発表した。SI業者や独立系ソフトベンダー(ISV)はForce.com上でアプリケーションを開発し、独自のブランドや料金体系で販売できるようになる。中小・中堅企業向けのSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)環境の整備が加速しそうだ。
SFDCは2006年に、AppExchangeと呼ぶWeb上の仕組みを構築。ISVなどが、自社でデータセンターを持たずにForce.com上でSaaSアプリケーションを開発し、販売できる場を提供している。しかしこの仕組みでは、ユーザー企業はSFDCとライセンス契約を結ばなければアプリケーションを利用できない。このため、SFDCを介しての間接販売というイメージが強かった。
今回の新プログラムでは、パートナー企業はユーザー企業と直接契約できるようになる。その一方で、データセンターの運用や課金、ライセンス管理、アプリケーションの配布・バージョンアップといった業務はSFDCに任せられるメリットがある。
Force.comはSFDCのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)で、サーバーやストレージといったインフラのほか、開発・実行環境やAPIなどをサービスとして提供する。OEMパートナー・プログラムを締結したパートナー企業は、SFDCの自社アプリケーションであるSalesforce CRMを除き、これらForce.comの全機能を利用できる。
パートナー企業は、顧客から得る利用料金から所定の割合を、Force.comの使用料金としてセールスフォースに支払う。この割合は個別に取り決め、ボリュームディスカウントにも応じる。SFDCの宇陀栄次社長が「今回のプログラムは単なるプラットフォーム機能の卸売りではなく、もっと踏み込んだ協業モデルだ」とするのは、こうした点からである。
パートナー企業に対するサポートも充実させる。開発者向けの教育プログラムを通常の半額で受講可能にするほか、専用の開発環境を無償提供する。Webサイト上でアプリケーションの試用版を配布し、見込み客を管理するための仕組みもSFDCが用意する。希望するパートナーには、開発時の問題解決を24時間体制で支援する有償サポートを提供する予定という。
新プログラムにはすでに、多くのベンダーが参加を表明している。大手ではNECや富士通、日立コンサルティング、日立ソフトウェアエンジニアリング。ISVではジラッファや日本オプロ、アピリオ、ガイアなどだ。SFDCによると、パートナー企業の当面の獲得目標は100社。ただし、システムのサービス品質やセキュリティを担保するため「パートナーをむやみに増やすことは考えていない」(宇陀社長)と、パートナー選定に配慮する姿勢も示した。
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