カナダ・バンクーバーで開催中の冬季オリンピックがいよいよ終盤を迎えました。目当ての競技のスケジュールに合わせ、連日不規則な生活を強いられている方はきっと多いことでしょう。かく言う私もその1人です。現時点(2月24日)で日本選手はまだ金メダルを獲得できてなく、なんとか終盤で、Sports Illustrated誌などによる“大方の予想”を覆してほしいところです(ちなみに、前回のトリノ・オリンピックで同誌の予想を覆したのは荒川静香さんでした)。
さて、いまさらながらに感じるのは、ネットメディアによる「オリンピック・コンテンツ」のいっそうの進化・充実ぶりです。IOCの公式サイトをはじめ、マスコミ各社の特設サイト、Yahoo!など大手インターネット・ポータルによる競技結果速報やライブストリーミング放送はもう随分前から当たり前のものになっていますが、今回のバンクーバーでは、そこから1歩進んだ提案がなされているように思うのです。
それは、ネットメディア/ネットテクノロジーの特性が存分に発揮されるかたちでなされる、新しいスポーツ観戦スタイルの提案です。特徴としては、「テレビ中継、あるいはたとえ現地の会場に足を運んだとしても得られないような、ITならではの情報の提供」と「世界中の聴衆からわき上がる興奮や感動のリアルタイムな共有」の2つが挙げられます。
前者の代表例は、グーグルが展開する一連の取り組みで、バンクーバーを舞台に同社のネット・サービス群の威力をあらためて見せつけています。例えば、「山岳競技の会場がどんな地形・景観なのかを知りたい」という世界中の人々の興味にこたえるかたちで、グーグルは会場のウィスラー地区を、Googleアース、Googleマップ、Googleストリートビューといったオンライン地理情報サービス群とオンライン画像共有サービスのPicasaによって、文字どおり立体的・多面的に紹介しています。なかでも、実際の競技コースに特別仕様のスノーモービルを走らせて撮影したGoogleストリートビューの映像は、さすがというほかありません。
そして、後者を提供するのはソーシャルメディアで、主にテレビのライブ中継との組み合わせによって、興奮・感動のリアルタイム共有の体験をもたらします。ここでの主役は、圧倒的なユーザー・ベースを誇るTwitterやFacebookです。例えば、Twitterにログインして、「#olympic」や「#vancouver」といった関連ハッシュタグで検索すると、そのとき同じ中継を観ている世界中の人々の喜び/落胆の声や、メディア・専門家による解説/補足情報などが一斉に飛び込んできます。そして、自分もその輪に加わって、リアルタイムでのやりとりを楽しみながら競技を観戦することができるのです。 こうしたソーシャルメディアならではのリアルタイム・コミュニケーションはここ数年、スポーツ観戦に限らず、重大ニュースが入ったときなどにさかんに行われるようになっています。スポーツには世界的関心を集めるビッグ・タイトルが多いので(今年は6~7月にサッカーのワールドカップが開催されます)、それらが開催されるたびに、ソーシャル観戦スタイルが世界規模で広がっていくのではないでしょうか。
会員登録(無料)が必要です
- セールスフォースがSlackを買収、目指すは“次のクラウド革命”:第57回(2020/12/02)
- モダナイズ型の事業創出に注目、コニカミノルタの「Workplace Hub」:第56回(2018/12/13)
- デジタルトランスフォーメーションでアジアに後れを取る日本企業、課題はどこに:第55回(2018/02/28)
- 施行まであと1年半、EUの新データ保護法「GDPR」への備え:第54回(2017/01/31)
- 基盤、機器、管理ソフトが丸ごと揃う「IIJ IoTサービス」はどのぐらい魅力的?:第53回(2016/07/20)