インターネットイニシアティブ(IIJ)は2016年7月19日、IoT(Internet of Things)サービス群「IIJ IoTサービス」を発表、同年11月より一部メニューを提供開始します。IoT活用に必要なクラウド基盤/機器/各種管理ソフトをマネージド型サービスとしてオールインワン提供するというもの。発表内容から企業にとっての魅力を確認してみましょう。
マネージドサービスとしてIoTの基本要素をトータル提供
企業がIoTを活用したビジネスを支援するサービスやソリューションはすでに数多くのベンダーが出荷中ないしは発表済みです。総合的なものでは、2015年3月発表のマイクロソフト「Azure IoT Suite」、2015年9月発表のソラコム「SORACOM」、2016年2月発表のさくらインターネット「さくらのIoTプラットフォーム」あたりが有名どころでしょうか。今回のIIJ IoTサービスの発表は、良く言えば「満を持して」ですが、この分野でのIIJのポジションや提供済みの製品・サービス群を考えれば、やや出遅れたタイミングとも言えます。
後発であるからには明確な強みが欠かせないということで、IIJ IoTサービスの発表にあたりIIJは、同社のこれまでのインターネット/ネットワーク分野でのノウハウに基づいたオールインワン/マネージドサービス型のクラウドプラットフォームであること(図1)と、今後のIoT市場の発展を見据えた将来のロードマップを描いていること(新サービスはロードマップ全体の端緒)の2つを訴えています。
オールインワンの強みとしてIIJは、「単体のIoTソリューションとは違い、各種デバイスに搭載されたセンサーに集まる情報の収集から蓄積、可視化、制御・管理の自動化に至るまで、IoTシステムに必要なすべての機能を一体化し、利用量課金型のクラウドサービスとして提供できること」(IIJ クラウド本部 副本部長の染谷直氏)を挙げます。これは、パブリッククラウドの「IIJ GIO」やコンシューマー向けMVNOサービス「IIJmio」、ルーターのレンタルサービス「SEILレンタルサービス」など既存サービス群(図2)に、現在開発中のIoTに特化したサービスや技術を加えて、IoTにまつわる全プロセスをトータルで網羅していく点を指しています。
3系統のサービスメニューを、当初は月額1000円程度で利用可能に
肝心のサービスメニューは、「コネクティビティ」「プラットフォーム」「機器」の3つに大別されています(表1)。コネクティビティメニューは、文字どおりIoTの接続・通信に関するもの。2016年11月のファーストリリース時にはモバイル接続サービスの提供のみであるものの、2017年以降、ユーザー専有型の「プライベートモバイル接続」や、ユーザーの環境とIIJのパブリッククラウドをWAN/VPN閉域接続する「エンタープライズ接続」およびMicrosoft AzureなどのIIJ以外のクラウドと閉域接続する「クラウドエクスチェンジ」などが順次利用可能になります。
プラットフォームメニューは、IIJのクラウド上に置かれるIoTシステムの制御・管理にまつわるもの。ファーストリリース時はアプリケーションやクラウドへのデータ転送を担う「データハブ」、ストレージへの格納とデータアクセス画面・APIを司る「データストレージ」が提供されます。2017年には、データを可視化しビッグデータ解析などを可能にする「データビジュアライザー」が提供予定となっています。
機器メニューは、センサー接続/無線接続用のゲートウェイ機器が「デバイスゲートウェイ」としてレンタルで提供されます(図3)。2017年以降には、リモートでの保守管理や双方向通信プログラムに対応した「デバイスエージェント」が利用できるようになる予定です。
2016年11月提供予定
機能 | 概要 | |
---|---|---|
コネクティビティ | モバイル接続 | 低コスト・高品質・安全なモバイル接続・認証 |
プラットフォーム | データハブ | アプリケーションやクラウドへのデータ転送 |
データストレージ | ストレージへの格納とデータアクセス画面・API | |
データビジュアライザー | データ可視化、ビッグデータ解析(2017年提供予定) | |
機器 | デバイスゲートウェイ | センサー接続・無線接続用ゲートウェイ機器 |
2017年以降順次提供予定
機能 | 概要 | |
---|---|---|
コネクティビティ | プライベートモバイル接続 | お客様専有型のモバイルネットワーク接続 |
エンタープライズ接続 | お客様環境とのWAN・VPN閉域接続 | |
クラウドエクスチェンジ | Microsoft Azureをはじめとした外部クラウド閉域接続 | |
プラットフォーム | デバイスマネジメント | デバイスGW機器の監視・管理、リモート設定更新 |
デバイスコントロール | デバイス制御、状態通知、自動管理 | |
機器 | デバイスエージェント | リモートメンテナンス、双方向通信プログラム |
表1:IIJ IoTサービスのサービスメニュー(出典:IIJ)
11月当初のサービス価格は未定ですが、IIJによると、月額1000円程度で基本的なメニューが利用可能になる模様です。
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