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マクニカ、フィジカルAIシステム「SiMa.ai」を販売、エッジAIプロセッサとローコード開発ツールを提供
2025年7月30日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
マクニカは2025年7月30日、フィジカルAIシステム「SiMa.ai」(開発元:米SiMa Technologies)の販売を開始したと発表した。フィジカルAIは、センサーやアクチュエーターを通じて現実世界を認識し、AIの判断に基づいて物理的な作業を実行する技術。製造業や物流業の現場業務を自動化する。SiMa.aiは、物理機器に搭載する専用のエッジAIプロセッサ「MLSoC」と、エッジAI上で動作するAIアプリケーションのローコード開発ツール「Palette」を提供する。
マクニカが販売を開始する「SiMa.ai」は、米SiMa Technologiesが開発・提供するフィジカルAI(Physical AI)システムである。ハードウェアとして、物理機器に搭載する専用のエッジAIプロセッサ「MLSoC(Machine Learning SoC)」を、ソフトウェアとして、エッジAI上で動作するAIアプリケーションのローコード開発ツール「Palette」を提供する(図1)。

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フィジカルAIは、センサーやアクチュエーターを通じて現実世界を認識し、AIの判断に基づいて物理的な作業を実行する技術。現場の課題をその場で直接的に解決する。マクニカによると、自律型ロボットや自動運転車、医療支援ロボットなど、リアルタイム性(低レイテンシ)と省電力性が求められる分野で活用が進んでいるという。
エッジAIプロセッサのMLSoCは、エッジデバイス上での推論や物理環境制御に適したAIチップである。データをクラウドに送信する必要がなく、エッジ上で判断・制御可能である。処理性能は最大50TOPSおよび10TOPS/W(毎秒50兆回の演算を消費電力5W相当で実行)。Arm Cortex-A65を搭載しており、Linuxを含む一般的なOSが動作する。
ローコード開発ツールのPaletteを用いることで、AIエンジニアがいない現場でも、MLSoCハードウェア上で動作するフィジカルAIアプリケーションを開発できるとしている。エッジ上での画像認識など、主にマシンラーニング(機械学習)を利用したAIアプリケーションの開発・デプロイが可能である。
マクニカは、近年のAI活用は主にデータ分析や予測といったサーバーやクラウド上での処理に特化しており、工場などの物理作業を自動化する用途には限界があると指摘する。その課題を解決するのがSiMa.aiで、「エッジ処理により通信を不要とし、ローコード開発で専門人材の不足を補う。AIプロセッサは省電力設計で環境負荷も軽減する」としている。