「クラウド環境を使って業務システムを運用する際、とかく問題となるのが安定性と障害対策だ。当社は万全の体制で顧客ニーズに応えている」。こう話すのは、ベライゾン ビジネス グローバル本部 ビジネスディベロップメント マネジャーの岡田正人氏である。
同社は2009年8月からクラウドサービス「Computer as a Service(CaaS)」を提供。高い可用性やデータ保護の仕組みなどを訴求ポイントに、システム要件にシビアな日本企業に対してサービス拡大を進めている。同社が考えるCaaSの優位性はどこにあるのか--。
CaaSでは、顧客がWebブラウザ経由でシステム構成を決められる。プロセサやメモリー、OSなどを選べるほか、利用するケースに応じてネットワーク構成も選択できる。「人事システムなどの社内業務用には専用回線の『トラステッドネットワーク』、Webシステムなら外部からのアクセス可能な『DMZ』といった具合に顧客ごとに設定できる」(同氏)。ネットワークまで含めてリソースを選べる点が売りの1つだ。設定したシステム構成を「仮想ファーム」と呼び、これらはファイアウォールやロードバランスといった機能を標準で備える。
こうして作成した仮想ファームに対し、「包括的なSLAを提供できる点が強みだ」(岡田氏)。具体的には、仮想ファームの設定内容に関わらず稼働率を100%保証するほか、データのバックアップやリストアについては必ず成功することを明確化している。必要に応じてSLAを追加でき、問題発生から解決までの時間を、2時間から1週間までの範囲で選ぶことも可能だ。「100%の稼働率を保証している点は、他のクラウドサービスと比べて大きな差異化ポイントとなる」(同氏)。
高水準のSLAを設定できる背景には、「グローバルで培った豊富な実績がある」(同氏)という。同社は200以上のデータセンター、3100台以上のサーバーを所有。「ベライゾンはデータセンターを15年以上にわたって運営してきた実績がある。こうして積み上げてきたノウハウをCaaSにフィードバックした」(同氏)。
物理サーバーを専有するプランも用意する。「仮想化により物理サーバーを複数ユーザーで共有することに抵抗感を示すユーザーも少なくない。そこでCaaSでは、仮想ファームと一緒に物理サーバーも選択肢の1つとしてメニュー化している。データ漏えい対策のほか、安定したパフォーマンスを発揮するためにも有効である」(同氏)。なお、物理サーバーのSLAも稼働率100%を保証している。
ただし気になる点もある。CaaSを利用する場合、データの預け先となるデータセンターが国内にはない。現状、アメリカか欧州にあるデータセンターのどちらかを選べるだけとなっている。「今のところ国内への建設予定はない」(同氏)という状況だ。
なお、月額料金は2万5000円から、初期費用は5万円から。ストレージはギガバイト単位、ネットワークはMbps単位とリソースごとの利用分を日ごとに課金し、月額料金として請求する仕組みになっている。