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メインフレームとUNIX、x86を統合管理、10万以上の仮想マシンを集約可能に─日本IBM「zEnterprise」
2010年9月10日(金)折川 忠弘(IT Leaders編集部)
日本IBMは2010年7月23日、最新メインフレーム「IBM zEnterprise 196」を含む大規模向けシステム「IBM zEnterprise 」を発表した。UNIX/x86のオープンシステムも統合管理し、運用コストを削減するとともにシステム複雑化を抑止する。
「IBM zEnterprise」は、メインフレーム「IBM zEnterprise 196(z196)」と、UNIXサーバーやx86サーバーを収納する拡張ユニット「IBM zEnterprise BladeCenter Extention(zBX)」、これらのハード資源を管理するソフト「IBM zEnterprise Unified Resource Manager(URM)」で構成する。
1台のz196に対しzBXを最大4台まで接続でき、この構成を1セットとし最大8セットまで拡張できる。最大構成時には10万以上の仮想マシンを1つのシステムとして管理できるという。
製品化の背景と特徴
メインフレームと、UNIX/x86などのオープンシステムを仮想化技術で1台の論理的サーバーに見せ、管理負荷の軽減を図る。「これまでアプリケーションごとにシステムを構築してきた結果、システムの増加や複雑化、運用コスト増大を招いた。こうした課題の解決に向けてIBMが出した答えがzEnterpriseだ」(専務執行役員 システム製品事業担当 藪下真平氏)。
アプリケーションの特性ごとに最適な処理環境をポリシーとして定義しておく。ユーザーからの処理要求に対し、都度ポリシーに従って最適なリソースを自動配分することで、運用負荷の削減を図る。
想定ユーザーについて、「IBMのメインフレームをすでに導入し、かつ複数のサーバーが散在している企業や、大規模データセンターを運用している事業者などが筆頭に挙がる」(システムz事業部長 朝海孝氏)とする。
個別製品の詳細
z196は2008年2月に発表した「System z10 Enterprise Class」の後継機である。プロセサの動作周波数を4.4GHzから5.2GHzへ引き上げるなどし、「1秒間に最大500億個の命令を処理できる。従来のプロセサと同じ消費電力での処理性能は60%向上している」(システムズ&テクノロジー エバンジェリスト 北沢強氏)。
そのほか、L3(24MB)、L4(192MB)の大容量キャッシュを追加、メモリーの搭載容量を1.5TBから3TBに引き上げるなどして性能を強化した。
zBXは、42Uサイズの「IBM Enterpriseラック」、ラックに2台まで格納できる「BladeCenterシャーシ」、1台のシャーシに14台まで格納できる「汎用ブレード」で構成する。
汎用ブレードにはPOWER7プロセサ搭載のブレードサーバー「IBM BladeCenter PS701 Express」を用いる。x86サーバーについては現状、開発を表明するに留まる。また、汎用ブレードとして、同社のデータベース「DB2」の処理を高速化するアクセラレータ「IBM Smart Analytics Optimizer(ISAO)」も用意。SQLの種類を自動で識別し、z196だけでは時間がかかる処理をISAOのメモリーを使い高速化する。
URMはz196および汎用ブレードを統合監視する。異なるアーキテクチャ上で構築した仮想マシンの作成や削除、構成変更を一元管理するほか、ハイパーバイザーのモニタリングや、事前に設定したポリシーに基づく運用監視などを担う。
価格と出荷開始日
価格は1億円から(最小構成時)。出荷開始はz196が2010年9月10日、zBXとISAOが11月19日から。 (折川)