日本電気(以下、NEC)とBCC(本社:福岡県福岡市)は2010年10月1日、福岡県糟屋(カスヤ)南部の宇美町・志免町・須恵町に対し、基幹業務システムをネットワーク経由で提供するサービスを同日より開始したと発表した。NECでは自治体向けのクラウドサービスとして、「SaaS型」「共同センタ型」「個別対応型」の3方式を提供しており、糟屋南部3町は「共同センタ型」の事例となる。同サービスは、3町の約11万人の住民に向けて利用が開始されるとともに、今後、福岡県内の他の自治体の参加も期待されている。
同サービスは、住民情報・税務・国保/年金・財務会計など自治体向け基幹業務パッケージソフト「GPRIME(ジープライム)シリーズ」(NEC製)を糟屋南部3町向けにカスタマイズし、BCCのデータセンタソリューションとして提供するものである。あわせて、基幹業務に付随する帳票出力(納付書・課税台帳等)や出力した帳票の配送等のBPO(Business Process Outsourcing)サービスも提供し、基幹業務運用にかかわるトータルなサービスを提供する。
従来、複数の自治体が基幹システムを共同利用する場合、構成自治体の独自仕様でカスタマイズしたシステムを自庁内またはデータセンタに設置する形態が主流であり、後から他の自治体が共同利用に参加するのはシステム設計的に困難だった。しかし、今回の事例では、パッケージソフト(GPRIME)をベースに、福岡県向け帳票対応等のカスタマイズを可能な限り限定するとともに、標準化されたクラウドサービス基盤を利用して、同県内の自治体の段階的な参加が行いやすくしている。
糟屋南部3町では、情報システム分野におけるコスト削減策として、共同アウトソーシングが有効な手段と考え、共有・共同が可能なものは集約し、パッケージを基本とした業務の標準化により全体最適化を図り、トータルコスト削減を目指したとのこと。同サービスの導入により、業務プロセスの見直し・標準化を実現し、更にデータセンタを利用する事で、基幹システムにかかるトータルコスト(TCO)を約40%削減できると見込んでいる。
サービスの特徴は次のとおり。
- 「住民情報」「財務会計」などの基幹システムを提供するNECのパッケージソフト「GPRIMEシリーズ」をカスタマイズし、BCCのデータセンタソリューションで提供。各町がサービスとしてそれぞれ利用する。なお、採用したシステムは、総務省が推進する「地域情報プラットフォーム」の仕様に準拠している。
- 同サービスの導入に際し、各町は提供システムに沿って既存業務を見直すことで、BPR(Business Process Re-engineering)を実現。各町は、この業務改革とシステムのサービス利用によって、これまで基幹システム構築・運用にかかっていたトータルコスト(TCO)を削減する。また、法改正等に伴うシステム変更などの負担を軽減することも可能となった。また、システムや住民情報等の重要なデータは堅牢でセキュアなデータセンタに置かれることで、災害時における事業継続(BC:Business Continuity)基盤の強化も実現している。
- BCCのデータセンタソリューションは、ISO/IEC27001に準拠し、顧客エリア毎の施錠など高いセキュリティ対応に加え、充実した安全対策、24時間365日の運用体制を用意。また今回は、基幹業務システムをクラウドで提供するだけではなく、BCCが各団体の業務システム運用代行のほか、基幹業務に付随する帳票出力(納付書・課税台帳等)、出力した帳票の各団体への配送等を行い、基幹業務運用にかかわるトータルなサービスを提供する。
GPRIMEシリーズ
http://www.nec.co.jp/kokyo/