[Gartner’s Eye]

IT運用管理プロセスを自動化し、ビジネス変化の速さに備えるRBA

2011年1月24日(月)ガートナージャパン

急速に変化するビジネス環境の変化に即応するためには、システムを迅速かつ確実に配備できる仕組みや体制の確立が不可欠だ。そのための基盤技術として仮想化技術に注目が集まるが、物理環境に比べて障害個所や原因の特定が困難という課題を抱える。こうしたなか、IT運用管理プロセスを自動化する「ランブック自動化:Run Book Automation(RBA)」の重要性が増している。

仮想化技術の進展により、1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを稼働させられる環境が整ってきた。だが実際のシステムの数が減るわけではない。集約度が高まり、動的な環境になればなるほど、人手での運用は難しくなる。

サーバー仮想化ソフトなどのインフラ管理製品には運用自動化機能が実装されつつあるが、ストレージやネットワークなど、他のシステム構成要素を含めた管理や、運用プロセスの統合的な自動化ができないのが現状だ。そこで注目を集めているのが、IT運用管理に関するプロセスを自動化する「ランブック自動化(RBA)」である。

運用保守に関する定型業務のワークフローを自動化

RBAを一言で言うと、従来のワークフローツールに、既存の様々なIT運用管理ツール/機能との連携機能を組み入れた、IT運用管理自動化の仕組みを実現するテクノロジである。サーバーやストレージの設定、バックアップなどを対象とする様々な管理ツールの持つ機能を必要に応じて呼び出し、運用管理プロセスの実行を自動化する。

仮想サーバーのプロビジョニングを例に採り、RBAによるプロセス自動化の仕組みを説明しよう。ユーザーがセルフサービスポータルから、使用したい仮想サーバーのリソースやOSの種類などを入力すると、変更管理システムに要求内容を送信。変更管理者が承認すると、ストレージ管理システムを呼び出して必要な容量を確保。次にサーバー管理システムを呼び出し、仮想マシンの立ち上げやキッティングを完了させる、といった具合だ。

RBAを実現するためのツールには、複数の運用管理ツールの統合・連携機能、ワークフロー機能、プロセスの設計・管理・監視を担う「オーケストレーション機能」が備わる(図1)。場合によっては、連携するための適切なアダプタを用意する必要がある。こうした機能を利用し、さまざまな要素で構成されるIT運用管理プロセスを自動化する。

図1 ランブック自動化(RBA)ツールの構成要素。複数の運用管理ツールの統合・連携機能やワークフロー、プロセスの設計・管理・監視を担うオーケストレーション機能を備え、さまざまな管理領域にまたがるIT運用管理プロセスを自動化する
図1 ランブック自動化(RBA)ツールの構成要素。複数の運用管理ツールの統合・連携機能やワークフロー、プロセスの設計・管理・監視を担うオーケストレーション機能を備え、さまざまな管理領域にまたがるIT運用管理プロセスを自動化する 出典:ガートナー

IT運用管理を自動化する技術は、既にいくつか存在している。(1)インベントリ収集やライセンス管理など、収集したデータを基に分析可能な情報に変換する「パッシブ/分析的な自動化」、(2)インシデント管理など、運用プロセスやワークフローを自動化する「プロセス・ベースの自動化」、(3)構成管理やバックアップなど、状況に応じてシステムの振る舞いや状態を能動的に変更する「アクティブな自動化」、などである。RBAツールは、こうした既存の自動化技術を連携して統合管理する。

欧米系から国産まで続々登場するRBAツール

運用自動化への期待の高まりから、運用管理ツールベンダー各社は、自社の製品群にRBAツールを追加したり、既存製品にRBA機能を搭載する動きを加速させている。2007年に米ヒューレット・パッカードが買収した米オプスウェア(Opsware)、同年に米BMCソフトウェアが買収した米リアルオプス(RealOps)の2社が先駆けだ。HPは「HP Operations Orchestration」、BMCソフトウェアは「BMC Atrium Orchestrator」というRBAツールを販売している。他にも米IBMや米CA Technologiesが製品を提供済みだ。

欧米に比べるとまだ数は少ないものの、日本国内の運用管理ツールベンダーも、部分的ではあるがRBA機能を製品に実装し始めている。富士通が2010年4月に発表した「Systemwalker Runbook Automation」や、野村総合研究所の運用管理ツール「Senju Operation Conductor」は、RBAを構成する一部の機能を搭載している。

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