急速に変化するビジネス環境の変化に即応するためには、システムを迅速かつ確実に配備できる仕組みや体制の確立が不可欠だ。そのための基盤技術として仮想化技術に注目が集まるが、物理環境に比べて障害個所や原因の特定が困難という課題を抱える。こうしたなか、IT運用管理プロセスを自動化する「ランブック自動化:Runbook Automation(RBA)」の重要性が増している。
仮想化技術の進展により、1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを稼働させられる環境が整ってきた。だが実際のシステムの数が減るわけではない。集約度が高まり、動的な環境になればなるほど、人手での運用は難しくなる。
サーバー仮想化ソフトなどのインフラ管理製品には運用自動化機能が実装されつつあるが、ストレージやネットワークなど、他のシステム構成要素を含めた管理や、運用プロセスの統合的な自動化ができないのが現状だ。そこで注目を集めているのが、IT運用管理に関するプロセスを自動化する「ランブック自動化(RBA)」である。
運用保守に関する定型業務のワークフローを自動化
RBAを一言で言うと、従来のワークフローツールに、既存の様々なIT運用管理ツール/機能との連携機能を組み入れた、IT運用管理自動化の仕組みを実現するテクノロジである。サーバーやストレージの設定、バックアップなどを対象とする様々な管理ツールの持つ機能を必要に応じて呼び出し、運用管理プロセスの実行を自動化する。
仮想サーバーのプロビジョニングを例に採り、RBAによるプロセス自動化の仕組みを説明しよう。ユーザーがセルフサービスポータルから、使用したい仮想サーバーのリソースやOSの種類などを入力すると、変更管理システムに要求内容を送信。変更管理者が承認すると、ストレージ管理システムを呼び出して必要な容量を確保。次にサーバー管理システムを呼び出し、仮想マシンの立ち上げやキッティングを完了させる、といった具合だ。
RBAを実現するためのツールには、複数の運用管理ツールの統合・連携機能、ワークフロー機能、プロセスの設計・管理・監視を担う「オーケストレーション機能」が備わる(図1)。場合によっては、連携するための適切なアダプタを用意する必要がある。こうした機能を利用し、さまざまな要素で構成されるIT運用管理プロセスを自動化する。
IT運用管理を自動化する技術は、既にいくつか存在している。(1)インベントリ収集やライセンス管理など、収集したデータを基に分析可能な情報に変換する「パッシブ/分析的な自動化」、(2)インシデント管理など、運用プロセスやワークフローを自動化する「プロセス・ベースの自動化」、(3)構成管理やバックアップなど、状況に応じてシステムの振る舞いや状態を能動的に変更する「アクティブな自動化」、などである。RBAツールは、こうした既存の自動化技術を連携して統合管理する。
欧米系から国産まで続々登場するRBAツール
運用自動化への期待の高まりから、運用管理ツールベンダー各社は、自社の製品群にRBAツールを追加したり、既存製品にRBA機能を搭載する動きを加速させている。2007年に米ヒューレット・パッカードが買収した米オプスウェア(Opsware)、同年に米BMCソフトウェアが買収した米リアルオプス(RealOps)の2社が先駆けだ。HPは「HP Operations Orchestration」、BMCソフトウェアは「BMC Atrium Orchestrator」というRBAツールを販売している。他にも米IBMや米CA Technologiesが製品を提供済みだ。
欧米に比べるとまだ数は少ないものの、日本国内の運用管理ツールベンダーも、部分的ではあるがRBA機能を製品に実装し始めている。富士通が2010年4月に発表した「Systemwalker Runbook Automation」や、野村総合研究所の運用管理ツール「Senju Operation Conductor」は、RBAを構成する一部の機能を搭載している。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
- 加速するビジネススピードとの同期にSOAとBPMの価値を再認識する時【最終回】(2011/10/19)
- 容量肥大化だけでないビッグデータの課題 本質見極め適切なテクノロジの選定を(2011/08/22)
- ソーシャル情報を最大限に生かす IT部門は積極的な関与と統制を(2011/07/21)
- グローバル企業が検討すべき「キャプティブセンター」の価値(2011/06/16)
- BCMに不可欠なガバナンス体制─鍵は権限・責任の明確化(2011/05/18)
- 業務システム 2027年4月強制適用へ待ったなし、施行迫る「新リース会計基準」対応の勘所【IT Leaders特別編集版】
- 生成AI/AIエージェント 成否のカギは「データ基盤」に─生成AI時代のデータマネジメント【IT Leaders特別編集号】
- フィジカルAI AI/ロボット─Society 5.0に向けた社会実装が広がる【DIGITAL X/IT Leaders特別編集号】
- メールセキュリティ 導入のみならず運用時の“ポリシー上げ”が肝心[DMARC導入&運用の極意]【IT Leaders特別編集号】
- ゼロトラスト戦略 ランサムウェア、AI詐欺…最新脅威に抗するデジタル免疫力を![前提のゼロトラスト、不断のサイバーハイジーン]【IT Leaders特別編集号】
-
VDIの導入コストを抑制! コストコンシャスなエンタープライズクラスの仮想デスクトップ「Parallels RAS」とは
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-
-
-
生成AIからAgentic AIへ―HCLSoftware CRO Rajiv Shesh氏に聞く、企業価値創造の課題に応える「X-D-Oフレームワーク」
-
-
-
「プラグアンドゲイン・アプローチ」がプロセス変革のゲームチェンジャー。業務プロセスの持続的な改善を後押しする「SAP Signavio」
-
BPMとプロセスマイニングで継続的なプロセス改善を行う仕組みを構築、NTTデータ イントラマートがすすめる変革のアプローチ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-





