[市場動向]

クラウド2.0序論─お仕着せクラウドからの脱却

「クラウド2.0」の幕開け

2011年11月1日(火)IT Leaders編集部

スケジュールを「Googleカレンダー」で管理し、そこに「Toodledo」や「Remember The Milk」で別途管理している備忘録も表示させる。日頃のメモは片っ端から「Evernote」入れ、オンラインストレージには「Dropbox」を活用。TwitterやFacebookなど複数のソーシャルメディアを使いこなすにあたっては、「HootSuite」や「Seesmic」といったマルチソーシャルクライアントで最新情報をチェックする……。

個人の領域では、こうした「合理的で便利な環境」がすでに整っている。場所やデバイスを選ばずに必要な情報にアクセスできる機動力もさることながら、そこには「組み合わせ」の醍醐味がある。多数の選択肢から好みのものを選べるし、意図せぬところでサービス提供元が他と協業して新たな価値をもたらしてくれることもある。競争が激しい分野だけに、いずこも機能強化に余念が無くサービスは日ごと成長し続ける。帯に短したすきに長しと考えている矢先に、ニーズにぴったりのものが登場するケースも珍しくはない。1人ひとり異なるライフ/ワークスタイルに合わせて、理想に近い環境を「自らのデザイン」で創れるのだ。

ユーザーの意思で企業ITをデザインする

コンシューマ分野で先行していた「チョイス&カスタマイズ」の価値観が、企業ITの分野にも波及しようとしている。2011年9月、米ワークデイ(財務会計/人材管理)や米インフォア(ERP)が、セールスフォース・ドットコムのクラウド基盤と連携を図ることを発表したのは、その典型例の1つととらえられる。米国ではすでに、企業向けのクラウドサービスが続々と登場し市場の裾野を広げ続けている。それに加え、大手ベンダーがクラウドの世界で手を組み始めたことが、ユーザーの自由度をさらに高めるとの期待がある。

クラウドといえば、CRM(顧客関係管理)や勤怠管理など特定領域に焦点を絞った「ターンキー」型のサービスを企業ITの一部に利用するのが今なお主流だ。どちらかと言えば、ベンダーからの“お仕着せ”をそのまま使う感覚である。しかし、企業向けクラウドサービスの数が今後は大幅に増えること、そしてサービス事業者が“横連携”を始めたことを考えると、従来からの構図は様変わりしそうだ。

クラウドのエコサイクルを加速させる

企業ITを各種クラウドの組み合わせで構成できる環境は、“ユーザー起点”の理想的なサイクルを生む。ビジネス価値を高めるキメ細かいサービスの登場を促し、さらに仲介やコンサルティングといった新しいクラウドサービスのニーズも生む。事実、米国では多彩なプレーヤを交えた巨大なエコシステムが形成されつつある。

無論、一足飛びに企業ITのすべてをクラウドでまかなえるという話ではない。しかし、「チョイス&カスタマイズ」の意義や、それを可能とする時代感を念頭において自社の企業ITを考えることはとても重要な視点だ。

胎動し始めた「クラウド2.0」。魅力溢れるクラウドサービスを世に生み出す原動力は、ITを賢く高度に使い倒すというユーザーの自負に他ならない。新しいフェーズに備え、企業の個性(真の勝負所)を支えるシステムはどうあるべきかを熟考する時が到来した。

図 多種多様なクラウドサービスの充実によって「組み合わせ」による自由度が高まっている
図 多種多様なクラウドサービスの充実によって「組み合わせ」による自由度が高まっている
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SaaS / Dropbox / Evernote / クラウドストレージ / Google Workspace

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