WAN高速化装置 容量が少なく、遅延の大きなWAN回線でスムーズな通信を可能にするWAN高速化装置。 最近は、仮想デスクトップやクラウドなど、さまざまな通信のパフォーマンスを向上できるようになってきた。
企業ITにおけるWANの重要性が増している。グローバル展開に伴う海外拠点とのやり取り、データ保護やコスト削減を目的とした本社へのサーバー集約、昨年の震災以降は、事業継続のためにデータセンター間のバックアップ体制を整備する企業も増えている。
WANを介したシステム利用を考える際、今でも話題に上るのがパフォーマンスの問題だ。周知の通り、WANは回線容量が小さく、接続距離に起因するネットワーク遅延も大きい。アプリケーションの処理が重くなったり、共有サーバーのファイルを開くのに何分も待たされたりするケースも珍しくない。「回線事情の良くない海外拠点と3D-CADなどのデータをやり取りする場合、飛行機で運んだ方が早いという場合すらある」(日立製作所の桝川博史部長)。
こうした課題を解決して、通信のスループットを改善するのがWAN高速化装置である。ベンダーの買収統合も一段落し、成熟が進んだ分野ながら、新たな動きも見られる。日立製作所は2012年1月、WAN高速化製品「日立WANアクセラレータ」の販売開始を発表し、市場に新規参入。海外進出を狙う大規模顧客のニーズを狙う。また、リバーベッドテクノロジーは2012年3月、Webアプリーションや動画などのコンテンツ配信の高速化を手がける米アカマイ・テクノロジーズと共同でSaaSの高速化サービス「Steelhead Cloud Accelerator」を発表した。まずは、製品の仕組みをおさらいした後、特徴的な製品を見ていこう。
プロトコルの“癖”を把握しWAN上でのやり取りを最小限に
WAN高速化装置を利用する際の、基本的な構成を示したのが図1である。回線の両端に向かい合うように装置を置く。アプライアンスの形態をとる製品が多いが、仮想サーバーやPC上で稼働するソフトウェアを提供するベンダーもいる。
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