スマートデバイスを巡る、米アップルと韓国サムスンの訴訟合戦。米カリフォルニア州連邦地裁は8月24日、サムスンに10億ドルの賠償を命じる評決を下した。これに対する米国メディアの論調は、意外にも(?)「アップルの訴訟戦略はイノベーションを阻害する」「消費者の利益にならない」など、アップルに批判的なものが多い。また調査会社YouGovによると、サムスンの企業イメージは評決直後こそ低下したが、9月初旬にはアップルを上回るレベルにまで回復した。自国の超優良企業の勝訴を、素直に歓迎しないのはなぜか。
来日していた米国在住のテクノロジーコンサルタント、野口芳延インタービジネス社CEOに聞いてみた。訴訟内容への疑問など様々な理由があるが、その1つに”選択肢の存在”を重視する感覚が影響しているという。「米国の人は1社が市場を占有し、選択肢がなくなるのを本能的に嫌う。自ら選択したいという志向が強いからだ。例えば料理を注文する時も、5人中4人はメニューから選ぶだけでなく、焼き加減や味付けなどに注文をつける」。日本では珍しくない「同行者と同じものを」といったシーンは、まず見られないわけだ。
スマホや料理に限った話ではなく、企業ITも同じだという。自ら主体的に選択するために情報収集に力を入れるし、情報にお金を払う。実績のないベンチャーの製品でも、優れていると判断すれば採用する。もちろん、こんなきれい事の話だけではなく、転職のしやすさ=失職の可能性の大きさがあるので、「リスクをとって成果を上げなければ」といったプレッシャもあるだろう。
それでもITに関わる意思決定を主体的に行うことは、我々ももっと取り入れるべきだと考える。それがベンダーの技術開発を促し、結果としてユーザーに還元されるからだ。それに貢献することが、IT Leadersのミッションだと考えている。さて、おかげさまで創刊4周年。まだまだ力不足ですが、引き続きご購読、ご支援をお願いします。
米国話をもう1つ。失業率は8%台前半と高く、不良債権問題も解消の目途はない。少子化はともかく高齢化は進んでいるし、政府財政も厳しい。先行きが不透明なのは日本だけではなく、米国も同じだ。
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