先進諸国に比べて、日本の公共データ公開に向けた取り組みは遅れていた。 しかしここに来て、府省庁や民間団体などによる動きが活発化している。 本パートでは、具体的な施策や支援活動を整理する。折川 忠弘(編集部)
諸外国における公共データ公開に向けた取り組み
公共データを公開する取り組みは、日本より米国や欧州が進んでいる。
米国は2009年、政府や主要な州/都市などが保有する公共データを一元的に利用できるデータポータルサイト「data.gov」を開設。公共データの利活用促進を図る(Part2参照)。英国やブラジルなど50カ国以上が参加する「オープンガバメント・パートナーシップ」にも加盟。各国が足並みを揃え、保有する重要データをスケジュールに沿って公開するよう取り組んでいる。なお、日本は参加していない。
EUは2003年から公共データ公開に向けた取り組みを開始。同年に策定した「EU指令」に基づき、加盟国に対して公的機関が保有するデータを再利用しやすい形式で公開することを決めた。企業が商用目的で利用できることも規定する。
2007年には地図などの空間情報を各国で共有することを目指したEU指令を策定。2011年にはデータポータルサイトを開設したほか、「欧州オープンデータ戦略」を打ち出す。データ処理技術の研究開発費として1億ユーロを支援することを発表した。
欧州各国の独自の取り組みも見逃せない。英国は2010年に「data.gov.uk」を開設して公共データの公開に乗り出した。当時のキャメロン首相は、各省に対して重要なデータを公開するよう指示。政府の支出データや犯罪の多いエリア、着工予定の道路工事情報などの市民生活に役立つ情報を優先的に公開するようにした。
フランスは2010年、公共データの活用を推進する専門組織「Etalab」の設立を閣議決定。データ公開に向けた府省間の調整や、データを保護する独自ラインセスなどを作成した。
BRICsにおいてもデータ公開に向けた取り組みが目立つ。ブラジルは2012年、公的機関が保有するデータを開放することを明記した「Freedom of Information Low」を発令。政治の透明性を高め、行政業務を効率化することを目的にデータ公開に着手する。ロシアも2012年に大統領令として、公共データの公開に取り組む姿勢を打ち出した。ブラジル同様、政府の健全化を目的に、2013年中のデータ公開を目指す。