[客観データで判断するWeb投資の妥当性]

【第1回】Webサイトへの適正な投資を判断する「客観データ」とは

2013年10月23日(水)佐藤 茂之(アルゴスサービスジャパン)

自社のWebサイトの投資額は適正か。投資に見合うパフォーマンスを引き出しているのか。こうした投資額の妥当性を評価するのは簡単ではありません。そこで本連載では、“客観データ”を活用し、自社のWebサイトに対する投資の妥当性を考えてみることにします。

客観データを使って課題を可視化

客観データがどのような“真実”を導き出すのか。その例を挙げましょう。

図1は、東京23区それぞれのWebサイト(トップページ)の性能(ブラウザによる処理時間)を計測した結果です。2013年8月19日から9月15日までの4週間の統計値を示しています。グリーンの部分は、1日の平均処理速度が3秒以内、イエローは同じく5秒以内、オレンジは同じく7秒以内、レッドは同じく7秒以上となります。データの客観性を高めるため、同じ設定/環境の複数端末から1日300回以上測定するようにしています。

図1:東京23区の各Webサイトの性能比較

図を見ると、墨田区のWebサイト(トップページ)は、他区のトップページと比較すると処理性能が3倍近く遅いことが分かります。もしこの事実を墨田区のWebサイト担当者が知っていたら、現在のWebサイトへの投資は適切ではないと判断したかもしれません。

もう1つ例を示します。図2は、東京都のWebサイト(トップページ)と、港区、新宿区、渋谷区のトップページの処理時間を比較したものです。
図2:東京都、港区、新宿区、渋谷区のWebサイトの性能比較


オレンジ色の線が東京都のパフォーマンスを示しています。週末を迎える度に大きく値が変動していることが分かります。平日はWebサイトへのアクセスが集中し、処理が重くなっていることが考えられます。

このデータを東京都のWebサイト担当者が見たらどう思うでしょう。平日と週末でこれほど大きな変動があれば、一般の利用者からのアクセス増だけが原因ではないと考えるのではないでしょうか。その時疑わしいのは、平日に都の職員が業務で利用する何かしらのシステムと、外部向けとなるWebサイトを運用するシステムでリソースを共有しているのでは、ということ。業務システムを利用することでWebサイトの性能が下がっているのではと推測できます。

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