編集長対談●米国本部トップに聞くCompTIA 認定資格の意義 IT 業界団体として、ワールドワイドの認定資格制度を通して人材育成に力を注ぐCompTIA。技術革新がますます激しくなる中で、どのような事業展開を考えているのか。来日したCEO のトッド・ティビドー氏と、エグゼクティブ・バイスプレジデントのテリー・アーデル氏に話を聞いた。 聞き手はIT Leaders 編集長、川上 潤司(文中敬称略) Photo:鹿野 宏
必要となるスキルセットは変化に追随してブラッシュアップ
川上: 資格制度については、マイクロソフトやオラクルなどのメガベンダーも独自のものを持っていますね。
ティビドー: 我々は「ベンダーニュートラル」な組織で、各社固有の製品についての知識はターゲットにしていません。別の言い方をすれば、例えばマイクロソフトのサーバーに関連する特定の製品の認定資格を取得したいと考えるエンジニアがいた場合、前提となるIT知識やスキルを習得できるのがCompTIA認定資格です。CompTIAの活動には多くのベンダーを含むIT企業により支えられており、製品に依存しない“最大公約数”として必要な知識とは何かを常に議論し、それをCompTIA認定資格に反映させています。
アーデル: 各社の資格制度とCompTIAが競合関係にあるのではなく、むしろ補完関係にあります。まずCompTIAでベースとなるスキルを身に付け、さらにその上で製品に特化したスキルを身に付けるため各社の認定資格にチャレンジする。そうしたケースが一般的です。
川上: 真に実務に役立つ資格制度であるために留意していることはありますか。
ティビドー: 資格制度は、テスト問題を1度設計すれば終わりというものではありません。技術進歩に合わせて定期的に内容をレビューすることは最も重要な作業の1つです。これまでの例でいえば、各資格ともに3年ごとに改訂が実施されています。試験の改訂に関しては、そのフィールドでの実務経験が豊富な人材が積極的に関与しますから、常に“今”を反映したものになっていると自負しています。
川上: 今後はどのような領域に事業を広げていくお考えですか。
ティビドー: 個人的に強く関心を持っているのはハードウェアの分野です。3Dプリンタやウェアラブルコンピューティング、セルフドライビングの自動車などは、特に刺激的ですよね。今の技術革新をもってすれば、近い将来にアイアンマンのスーツが実現できるかもしれません(笑)。
資格制度にするかは別として、ハードとソフトのインタラクションが世の中にもたらす変化は多大になると確信しています。そうしたテクノロジーの進化にCompTIAも追随するものでなければなりません。地に足の着いた事業という基本を忘れることなく、常に可能性を探りながら多方面に事業展開していきます。ご期待ください。
CompTIA(コンプティア) http://www.comptia.jp
1982年、IT業界の要請から発足した非営利の業界団体。ITに携わる企業や個人の利益を高めるため、「教育」、CompTIA認定資格での「認定」、IT業界の声を反映しIT政策に反映するための「政策支援活動」、IT業界への「社会貢献」を4つの柱として活動を続ける。米国シカゴ本部を中心に世界に10の拠点を持ち、2001年に日本支局が設立された。