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[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

CIOがやらなくて誰がやるのか?

CIO賢人倶楽部 会長 木内里美氏

2014年1月8日(水)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可を頂きました。月1回のペースでご紹介しています。第1回は本誌の好評コラム『是正勧告』の筆者である木内里美 同倶楽部会長です。

 昨今、「経営とITの融合」といった耳触りの良いフレーズが囁かれる機会が増えた。多くは情報関連のベンダーやメディアから発信される。コンサルティング会社がメンバーの中心になっている「経営とITの融合」研究会という活動もある。事業会社の経営者が主体になって活動しているのなら違和感はないのだが、どこかしっくりこない。経営者の意思や姿が見えてこないからだ。

 経営に貢献するITとか経営に資するITとか、様々な言い方で情報投資を促す声は、少なくとも企業にコンピュータが導入され、給与計算や会計処理などに活用されていた頃にはなかったことだ。情報技術の進展の中で、インターネット技術の普及と社員それぞれが情報端末を持つようになって状況は一変した。日常の業務がコンピュータなしでは立ちいかないという「企業活動の基盤」になってしまったのだ。

 このことは企業を問わず共通だが、経営とITの関係は業種や業態によってかなり異なっており、十把一絡げの括りでは語れない点に注意しなければならない。簡単な話、クラークの産業分類で言う一次産業のIT依存度と、サービス業などの三次産業のIT依存度はかなり異なる。一般には高次産業ほどIT依存度が高くなり、戦略性も求められる傾向が強まる。

 しかし、実際の産業形態には様々な業態があるために、自社のビジネスを良く理解したうえで情報技術の取り込みを行わなければならない。だからこそ経営者が直接関与して意思決定し、情報システムを経営に取り込んでいく必要がある。

 かつて「電子計算室」であった頃のように、情報システム部門に丸投げで済む問題ではない。役割が変化したのだ。ところが多くの経営者はこの分野を疎んじ、旧態依然の部門任せの経営スタイルである。情報システム部門も複雑化する仕組みの構築に現場感を失い、主体性を失くした過度のベンダー依存が進んできた。

 この状況を打破することはCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)の任をうけたものがやらなければならない。そうしなければ本当に経営に寄与する最適化はできない。

 ではCIOだけが頑張ればできるのか?そうではない。組織はトップで動くものだ。CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)とCIOの役割を持つ経営者同士の意思疎通と連携は欠かせない。縦割りで事業や管理をみている事業経営者と異なり、CEOとCIOは常に全社のビジネスを俯瞰しなければならない。最終の責任をとる責務を負いながら、自らの意思決定をしなければならない。

 そして相談する相手はあまりいないはずだ。日本企業にもようやく定着してきたCIOという職務責任者は、孤独の中で意思決定をしていかなければならない。CIO賢人倶楽部は少しでもCIOを支援し、連携を深めていくことに寄与していきたいと願っている。

CIO賢人倶楽部
会長
木内里美氏

CIO賢人倶楽部について

大手企業のCIOが参加するコミュニティ。IT投資の考え方やCEOを初めとするステークホルダーとのコミュニケーションのあり方、情報システム戦略、ITスタッフの育成、ベンダーリレーションなどを本音ベースで議論している。
独立系コンサルティング会社のレイヤーズ・コンサルティングが運営・事務局を務める。一部上場企業を中心とした300社以上の顧客を擁する同社は、グローバル経営管理、コストマネジメント、成長戦略、業務改革、ITマネジメントなど600件以上のプロジェクト実績を有している。

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