[“聴き手の心を動かす”プレゼンテーション]

「スライドはシンプルに」─プレゼンテーション21のポイント 企画・制作編(3):第4回

2014年6月5日(木)永井 一美(オレンジコミュニケーション・サポート)

今回は「企画・制作編」の最後となる【Point10】として、スライドの作り方についての注意点を解説する。ついつい過ちを犯しがちなところなので、じっくりと読み、理解を深めてほしい。

 前回は「企画・制作編」のPoint04から09まで(「事実だけではだめ」「3点ルールを使う」「コントラストを描く」「数字に語らせる」「メリハリを入れる」「語りを書く」)を解説した。

 そして、“このポイントをぜひ実践してほしい!”と強調したのが「語りを書く」。「語り(言葉)」は「聴き手の心を動かす『機能』」であり、「語りを考える」ことは、その「機能美」を追求すること。これはプレゼンテーションだけでなく、みなさんの日常のビジネスコミュニケーションにも良い影響をもたらすだろう。
 

「企画・制作編」(10のポイント)

 今回は「企画・制作編」の最終ポイント。「スライドはシンプルに」。

【Point 10】「スライドはシンプルに」

「スライド」が「ダメなプレゼン」の元凶

 “さあ、プレゼンの準備だ”とPowerPointを開く。上司から「プレゼンの用意はできたか?」と聞かれ「できています」と答える。このときの「用意」とは「スライド」を指していることが多い。

 情報が書き込まれたスライドがあれば、プレゼンターはそれを見ながら「語る」ことができるだろう。しかし「プレゼン=スライド」ではない。「スライド」は「語り」を補完するもの。「企画・制作編」の“最後のポイント”に「スライド」を持ってきた意図を理解してほしい。

 「ダメなプレゼン」の多くの元凶は「スライド」である。キング牧師の演説はスライドなどないが、聴衆の心を動かした。聴衆を感動させた。スライドはメインではなく補完でありサブである。スライドが語るのではなく、プレゼンターが語る。「プレゼンターの言葉が聴き手の心を動かす」ことを忘れてはいけない。

 スライドがメインでないことを前提に3つ解説する。

 1つめは、「Simple is Best
「タイトル」や「社名」「ロゴマーク」「コピーライト表示」「派手なテンプレート」…そして、中央が文字であふれているスライドが実に多い。

図1: よく見かけるスライド(=印刷物)

   1枚のスライドを投影している時間は長くて2分だろう。人は情報があればあるだけ目でそれを追う。

 「Less is more」〜ローエという建築家の言葉である。「より少ないことは、より豊かなこと」。情報が少ないから、そこに凝縮される。見る側はそこに集中する。余白があると埋めたくなる気持ちは分かる。しかし、“余白を恐れない”こと。

 また、スライドの文章表現は「現在の状況…であるので…することで生産性が30%高まります」という日本語表現ではなく、「生産性 30%UP!」と体現止めでいい。聴き手は見た瞬間に意味を理解し、すぐに注目はプレゼンターへ。そして、その理由を期待する。それに応えるように「なぜ30%UPするのか、…」と、思いを込めてプレゼンターが語るのだ。

 スライドに詳細が書かれていないのは不安かも知れないが、話すべきことを全て書き込むのはプレゼンターの怠慢と言っていい。スライドに頼らなければいけない知識では、聴き手の心を動かすことは難しい。「スライドに語らせてはいけない」。

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