[“聴き手の心を動かす”プレゼンテーション]

21のポイント<本番編> 「第一印象を大切に」:第7回

2014年7月2日(水)永井 一美(オレンジコミュニケーション・サポート)

7回にわたって連載してきた当コラムもいよいよ最終回を迎える。テーマは「本番編」の4つのポイント。「第一印象を大切に」「言い訳から始めない」「時間を守る」「終わりが始まり」を順に解説する。

「本番編」(4つのポイント)

 企画・制作して予行練習もしっかりとやった。後は元気よく本番を行うのみ。


【Point18】

「第一印象を大切に」

 ファーストインプレッション。
「第一印象を与えるチャンスは一度きり(You never get a second chance to make a first impression.)」という言葉がある。第一印象は「チャンス」だとの表現。なかなか良い言葉だ。

 服装、第一声、笑顔…就活の時にレクチャーを受けた人もいるだろう。ただ、何ができれば絶対というものでもないし、その人のキャラクターも関係する。

 人間関係において「小さなことは大きなこと」。挨拶しなかっただけで「失礼な奴だ」と思われる。ネガティブなレッテルを貼られることもある。日常において礼儀を大切にする、礼節を重んじる。こうした行動の積み重ねが、プレゼンだけでなく、商談や面談の第一印象にも表れるのかも知れない。

 なお、服装は大切に考えてほしい。ラフというより“汚い”と思える格好でのプレゼンをたまに目にする。決して、良い印象と思えない。第一印象が悪ければ、内容が良くとも印象をくつがえすのに時間がかかってしまう。スティーブ・ジョブズのようにすでに誰もが認めている人物とは違う。「黒のタートルネック・ジーンズ・スニーカー」はジョブズのトレードマークである。

 聴き手が主役。聴き手のことを思って、聴き手に向いて、明るく元気よく。


【Point19】

「言い訳から始めない」

 セミナーなどでよく耳にする。「時間があまりなく、不備な点があるかと思いますが」「本来、適任ではないのですが」「まだ経験不足なもので」…聴き手からすれば「なんだ? ちゃんと準備してこいよ」「適任者を出せ」「時間とってきているんだ」と憤るだろう。聴き手に対して実に失礼。

 本人からすれば、日本人のいわゆる奥ゆかしさ。「ふつつかながら…」「お粗末な物ではございますが」と同じに考えているのか。また、失敗したときの免罪符のつもりかも知れないが、全く不要。言ってはいけない。

【Point20】

「時間を守る」

“時間”は“聴き手のもの”

 タイム・イズ・マネー、時間は貴重。そして、その時間は聴き手一人ひとりの時間であり、その総和である。“聴き手”にとって“その時間”がどれだけ大切かをプレゼンターは分からない。だから、守らなければいけない。

 時間通りに始め、時間通りに終わる。「ちょっと時間過ぎましたが」と平然としないこと。これは、社内の会議においても、外部との打ち合わせにおいても、商談においても同様。時間は絶対だ。「時間を守った、有効に使った」ことは“きちんと準備している”との評価にも繋がる。

 “時間を守る”ことは、ビジネス・社会のルールであり、事務的な問題ではない。誠実さの問題である。


【Point21】

「終わりが始まり」

 プレゼンの“最終目的”は何か? “聴き手の心を動かした”、その後の目的は? 決して、“プレゼンで終わり”ではないはず。

 プレゼンは一つのステップ。次がある。“次の始まり”との意識があれば、特にエンディングは違ったものになる。会話においても会議においても、次があるなら、次はどうするか、次までにどうするか、宿題を決めるだろう。

 製品提案の競合プレゼンにおいて、相手から「一番良かった」と言われて浮かれていたら、失注した。これは、相手の担当が最終決定者である上司へのプレゼンに失敗したためだ。社内でのシステム提案などでも同じようなことがあるだろう。相手の“次の行動”を押さえていれば“次の始まり”として考える手はある。

 「プレゼンの終わり」は「次の始まり」である。(※注1)

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