7回にわたって連載してきた当コラムもいよいよ最終回を迎える。テーマは「本番編」の4つのポイント。「第一印象を大切に」「言い訳から始めない」「時間を守る」「終わりが始まり」を順に解説する。
「プレゼンテーション 21のポイント」を終えて
最後にあたり、解説しなかったことに少し触れたい。
一つは「チャート」。
「データチャート」「コンセプトチャート」があるが、「データチャート」は一般的に「グラフ」と言われる。「チャート」はテータやコンセプトを視覚に訴える方法として効果的だ。「メリハリを入れる」ためにも有効である。このときに気をつけたいことは、“統計グラフ”をそのまま投影しないこと。なぜなら、そのグラフには“意思がない”からだ。加工して、“言いたいこと”や“意思”を見た瞬間に判断できるようにしよう。
二つ目は「言葉の表現方法」。
“どういった表現が効果的で印象的なのか”。方法の一つに「レトリック」がある。「ごまかしのテクニック」といったネガティブなものとして忌み嫌われる風潮もある。しかし、有限の言葉を利用して表現する以上、その方法を考えることは自然なことだ。また、レトリックという技術が先にあったのではなく「効果的、印象的な表現や弁論」を研究した結果として、技術を分類したものと認識している。ネガティブなイメージは技術の問題ではなく、語り手の問題である。
「畳の上の水練」
陸の上でいくら水泳の練習をしても泳げるようにはならない。手の動きや足の動きについて学習し、“水に飛び込んで”実際に泳がなければいけない。プレゼンテーションも同様。実践しなければ上達はしない。
「21のポイント」は、日常の業務において実践できるものがある。ぜひ“水に飛び込んで”ほしい。
「プレゼンの技術」は“あなた”を助けるものと信じている。誰もが認めるプレゼンターになる。それは必ず“あなた”の“プレゼンス”を高める。
最後に。「プレゼン道」に取り組むきっかけを作っていただいたインフォテリア株式会社の平野洋一郎(代表取締役社長/CEO)氏に御礼を申し上げます(平野氏のエッセンスは私の起点です)。そして、7回に渡りお付き合いいただいた読者のみなさまに感謝申し上げます。
【参考文献】
- 注1:「プレゼンテーション・パターン」(井庭崇/井庭研究室 著、慶應義塾大学出版会)
オレンジコミュニケーション・サポート
代表
永井 一美 氏
日本システムウエア株式会社入社以来、一貫してITに従事。入社当時、日の丸コンピュータとして電電公社、富士通、日本電気、日立製作所の共同開発である「DIPSプロジェクト」に携わる。その後、システムインテグレーション部隊のマネージャーなどを歴任。
「ソフトウェアの可能性」を追求すべく、“2000年問題”収束後の2000年6月にアクシスソフトウェア(アクシスソフトへの社名変更後、現在は合併によりオープンストリーム)に転職、製品事業の立ち上げに尽力し、2006年に代表取締役社長に就任。MIJS(Made In Japan Software Consortium)理事、日本IT特許組合の理事長なども務める。2011年9月、アクシスソフト代表を退任。
現在は、オレンジコミュニケーション・サポートとしてプレゼンテーション、ヴォイス・トレーニング、タイピング研修を事業として活動している。「ビジネス経験の中で、プレゼンテーションは核だった」とは本人の弁。
オレンジコミュニケーション・サポート:http://www.orangecom-support.com
- 【第6回】21のポイントその2~「目で語る」(2014/06/23)
- 【第5回】21のポイント<予行編>その1~「聴き手と繋がる」(2014/06/13)
- 「スライドはシンプルに」─プレゼンテーション21のポイント 企画・制作編(3):第4回(2014/06/05)
- プレゼンテーション21のポイント[企画・制作編2]「事実だけではダメ」(2014/05/13)
- プレゼンテーション21のポイント「なぜから始める」「聴き手が主役」「メインメッセージを頂点に」:第2回(2014/04/17)