クラウドコンピューティングのセキュリティ課題について、「Security Guidance for Critical Areas of Focus in Cloud Computing(略称CSAガイダンス)」では体系的に解説している。本連載では、CSAガイダンスに沿って、クラウド利用者が知っておくべき知識と、押えるべきポイントを解説する。前回、前々回は、クラウドにおけるセキュリティインシデントについて、そのライフサイクルに沿って説明した。今回は、アプリケーションのセキュリティについて、CSAガイダンスの第10章にそって、その要点を解説する。
クラウド環境において、最終的な利用者が享受するのは“サービス”である。そのサービスを実現するためには、様々なアプリケーションプログラムおよび、その開発・運用基盤が必要になる。当然ながら、これらのアプリケーションとその基盤は、常に外部からの脅威にさらされるため、安全性の確保、とりわけ脆弱性などの排除が最も重要な課題になる。この点は、クラウドでもオンプレミスでも変わりはない。
昨今、Web系アプリケーションを公開する際は、脆弱性検査などの手順が取り入れられるようになっている。だが、これらは対症療法に過ぎない。根本的に、脆弱性の排除といった問題に取り組むためには、アプリケーションの品質管理同様に、開発プロセスを見直し、上流レベルにおける対応が不可欠だ。
「SSDLC」でソフトウェア開発ライフサイクル自体をセキュアにする
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ソフトウェアの開発・運用・保守・改良など、一連の流れをソフトウェアのライフサイクルとしてとらえ、体系的に管理していく考え方に、「SDLC(Software Development Life Cycle)」がある。CSA(Cloud Security Alliance:クラウドセキュリティアライアンス)では、クラウド事業者やアプリケーション開発者に対し、このSDLCにセキュリティ要素を加味した「セキュアSDLC」(以下、SSDLC)の導入を推奨している(図1)。
例えば、企画・要件定義の段階では、システムに対するリスク評価を実施する必要がある。想定可能な脅威と、その影響をきちんと評価し、それに応じたセキュリティ要件を定義する。
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