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不可能だったアプリケーションを開発可能にする、新世代のPaaS「kintone」がもたらす変化と価値

2014年8月7日(木)

今日の情報システムは、効率化や省力化を超えて何らかの価値創出を求められている。そのためにはアプリケーションを迅速に、しかも常識を越える低コストで開発し、改善し続けるためのクラウド基盤、つまりPaaSが必要不可欠だ。その1つである「kintone」を提供するサイボウズの青野慶久社長は、「従来なら実現できなかったアプリケーションを開発する事例が増えており、またわずか39万円という常識破りの定額SIビジネスを展開する企業も登場しました。kintoneが大きな変化をもたらしつつあることを実感しています」と語る。いったいどんな変化が起きているのか、青野社長に聞いた。

ITによる価値創出に向け、
できなかったことを可能にするツール

 経営や事業におけるITの位置づけは今、様変わりしている。これまでのITは企業内における業務の省力化や効率化を実現するツールとして活用されてきた。在庫管理、販売管理、人事や財務会計などである。グループウェアも同じ。企業内、あるいは特定部門のコミュニケーションや共同作業を効率化するレベルに留まってきた。しかし今日のITは、それだけでは済まない。部門や企業の枠を超えて商流を動かしたり人と人との協働作業をサポートする、あるいは企業と顧客、消費者を結びつけたり、企業とモノを連携させるといったことが求められる。

 クラウドサービスのkintoneはそうした要求にフィットする。例えば出先や自宅に居ながらにしてセキュアに情報を共有し、協働作業するアプリケーションを構築できる。冒頭の事例にあるように取引先、あるいは主婦や学生などを巻き込むアプリケーションの構築も容易だ。「それを超短期間で、しかも低コストで実現することによって省力化や効率化を超えた価値創出が可能になります。”価値創出”が大げさならば、従来はできなかったことを可能にする、と言い換えてもいいかも知れません」(青野社長)。

 実のところサイボウズは、そのため――従来はできなかったことを可能にするため――にkintoneを開発した。背景にあるコンセプトは極めてシンプルである。「kintoneの目的はただ1つ、チームワークを支援することです」と強調する青野氏は、「(1)メンバーがいて、(2)共通ビジョンを持ち、(3)各自の役割分担があり、(4)相互に依存関係がある」というチームの4条件を示しつつ、その活動をより快適でスムーズなものにするための仕組みづくりに注力してきたという。実際、企業の枠を超え、複数が協働作業を行う、前述のアサヒビール中国の取り組みは、その好例と言えるだろう。

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