「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、ヤマト運輸の小佐野豪績氏のオピニオンです。
本リレーコラムの初回に、当倶楽部会長の木内里美氏が「経営とITの融合」というテーマを取り上げていた。今回は私自身の経験を踏まえ、少し角度を変えて「CEOとの関係におけるCIOの役割」について取り上げたい。
私は2005年から5年間でグループ会社2社のCEOを務め、その後、2014年3月までの4年間、ヤマトホールディングス(株)において「グループCIO 兼 経営戦略担当役員」の任に就いていた。グループCIOに就いている間、十分とは言えないにせよ、CEOと意思疎通を図るよう努力し、CEOの理解と協力を得て何とか取り組んでこられたと思う。
この間、私がどんな経験のもと、どんな考えに至ったのかを述べてみたい。まず、もう一度簡単に私の経歴をお話しておく。多少なりとも読者の皆様の参考になれば幸いだ。
入社後は宅急便の現場に配属されたが、その後は情報システム部門を中心にしながら数年おきに現場責任者を経験した。2005年、2社のグループ会社においてCEOを務めることになった。
最初の会社は創業30年を超えていたが、ほとんどIT化されていなかった。お客様情報のDBなど営業系はおろか事務・業務系もIT化されておらず、二度手間や請求ミスなどでお客様に迷惑をおかけすることが少なからずあった。事業継続は危機的とさえ言える状況だった。
2社目は同業他社15社と連携してひとつの輸送商品を取扱う、新しいビジネスモデルを展開する会社である。事業を成功させるためには、標準化されたITの早期導入が不可欠だったが、創業したばかりで、それは存在しなかった。
2社ともに様々な出来事、難題があったが、結果的には事業展開に合わせたIT化を図ることができ、現在も順調に成長を続けている。成功要因を私なりに分析すると、事業立て直しや成長のための経営戦略に合致したITを、素早く導入する決断が出来たことが大きかったと思う。それができたのは、やはり「CEO=CIO」だったからだ。
こう書くと「CIO不要論」を展開しようとしていると考えられるかも知れないが、結論はもう少しだけ待って頂きたい。
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