ITをテコにした産業革命が進行し、今や“常識破り”の時代を迎えている。百貨店大手の米Searsがビッグデータのコンサルティングサービスを開始したかと思えば、米Amazonは映画の制作にまで参入。米Googleはロボットから医療にまで手を広げる。業界の枠を超え、いつどこから競争相手が現れるか予断できなくなった。
特定の業界で技術力と資本力の両面から足固めをした企業が、他業界に遠慮なく参入するケースが近年、増えている。
その一例が、米百貨店業界の老舗企業Searsだ。同社はさきごろ、自社のビッグデータ部門をMetaScale(メタスケール)として分社・独立させ、ビッグデータのコンサルティングとトレーニングのサービスを提供し始めた(図1)。何と、デパートがビッグデータとアナリティクスのサービスを提供するのである。

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自らのビッグデータ活用プロジェクトをベースにサービス化
Searsは、リチャード・シアーズ氏が1893年に始めた時計のメールオーダー(通信販売)ビジネスに端を発している。その後、各種の機器のメールオーダー会社として成長し、全米規模のデパートへと発展した。今では全米に2200店舗を持ち、従業員数は24万7000人、2013年度の売上高は361億ドルだった。
そのSearsがなぜビッグデータのサービスなのか。同社はこれまで、日常の業務処理にIBM製メインフレーム6台を運用してきた。うちの1台が分析専用だった。ビッグデータが騒がれるのを見て、2010年にHadoopを使った実験システムを構築。これを2年間、たっぷりと試してみた結果、「これはいける」と判断した。
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