国内企業でも本格的なデータ利活用の兆しが感じられるが、その阻害要因の1つとなるのが極めて深刻化している情報セキュリティ・リスクだ。被害を恐れるあまり、対策の矛先は利活用の現場に向きがちとなる。管理責任を回避する最もシンプルで安易な対策によって、利活用が阻害されていく昨今の傾向はいかがなものか。今回は、この構図にメスを入れたい。
日本はアジア諸国のようなフリーのWi-Fi網の整備が遅れている。通信事業者(キャリア)への依存が強いからだが、それでも広域でネットワークが使えるようになってきた。加えてここ数年のモバイル端末の普及は凄まじい。最近は、モバイル端末を持っていないビジネスパーソンに会うことは希になった。
インフラばかりでなく、モバイルアプリでもクラウドでも、「使える」ものが格段に増えている。残念ながら日本発のサービスは小物ばかりだが、FacebookのメッセンジャーやGoogleのハングアウトなどのコミュニケーションツールは、実に使い勝手がいい。ビジネスに活用しなければ勿体ない。
一方で企業もデータの重要性に少しずつ気づき、データ・マネジメントやチーム共有・分析活用など、データを活用する活動も目立つようになってきた。いよいよITの保有ではなく、利活用で差異化を図る時代が来たようだ。
ところがそれを阻害する要因がある。ここ数年、極めて深刻化している情報セキュリティ・リスクだ。一つは巧妙さを増すサイバー攻撃、特に悪意のある標的型攻撃の台頭。もう一つはデータ漏洩の規模の拡大である。
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