[基礎から分かる『EDI再入門』〜グローバル企業のビジネス情報連携方法〜]
EDIによる請求と支払いにおけるメリット:EDI再入門 第3回
2014年12月4日(木)Rochelle P. Cohen
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ)交換により組織は、手動のトランザクションベースのプロセスから生じるコストや非効率性を削減できます。サプライチェーンの見直しが広がる中で、数々のアプリケーション間で発生するデータ交換を自動化することは、企業の競争力に直結していきます。グローバル化が進展し競争が激しくなるなか、B2B連携テクノロジーの1つであるEDIをどう活用するかが、企業の成否を分かる可能性があります。今回は、EDIによって企業の主要プロセスのうち、請求・支払いが、どう合理化を図れるかを説明します。
【この記事で習得できる内容】
・どうすればEDIにより請求・支払いプロセスを合理化できるか-発注書がない場合や評価済受入精算のプロセスなど
第2回で説明したように、EDIは、ビジネスに不可欠なデータを定刻に送信したり、信頼できる取引先とのデータ送受信の安全を確保したり、あるいはリアルタイムなトラッキングやイベント終了後の監査を可能にします。今回は、一般的なビジネスプロセスのうち、請求・支払いのプロセスが、EDIでどのように合理化が進められるのかを説明します。
請求・支払いのプロセス
財務チームはますます買掛金勘定(AP)部門の合理化に注力し、さらなるコスト効率性の達成、財務実績の可視化向上、社内外双方の不正行為のリスク削減を実現します。EDIでないサプライヤーから受け取る紙のインボイスの山を排除することは明らかに重要な第一歩です。
多くの国では、電子インボイス(e-インボイス)を許可する法律を制定しています。税務監査中の法的な証拠としての役割を果たし、紙の原本を保管する必要がなくなりました。より効率的に税金を徴収し、税金逃れを防ぐために、メキシコやブラジル、デンマークなど世界中の政府が公共セクターに対しe-インボイスの使用を義務付けてきました。
米国内では、国防省や退役軍人省などいくつかの連邦政府関係機関がe-インボイスを義務付けています。今日、e-インボイスによる請求が、政府機関と(企業規模にかかわらず)民間セクターがビジネスを行う上で標準的な方式になりつつあります。
e-インボイスによる請求の規則は目的が似ていることが多いですが、特定の要件は国によって様々です。例えば、EDIインボイスは、データフォーマット、データストレージ、データアクセスの要件に対する各国ごとの規則を忠実に守る必要あります。
e-インボイスによる請求の法的な要件のいくつかは、欧州連合の内でも、以下のように異なります。
(1)デジタル署名:スペインなどでは、発信元や保全性を保証するために、(暗号化コードを使用して)デジタルに署名されたEDIインボイスを必須(必要)にしています
(2)アーカイブ:多くの国では長期間EDIインボイスの保存が求められます。例えば、ドイツでは10年間、英国では6年間のデータ保存が必要です
(3)VATコンプライアンス:欧州のVAT(付加価値税)ルールは、国によって大きく異なります。
請求と支払いのプロセスには、3つの典型的なモデルがあります。小売業において最も一般的なものは、発注書とインボイスの作成です。2番目のモデルは、EDI発注書は作成せず、EDIインボイスのみを作成するものです。そして3番目のモデルはその逆で、EDIインボイスではなくEDI発注書を作成するものです。
EDI発注書とEDIインボイス(標準モデル)
完全に自動化された請求と支払いのプロセスです(図1)。
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(1)サプライヤーの注文管理システムが、受信したEDI発注書を処理します
(2)注文が記入されると、売掛金勘定システムがEDIインボイスを作成・送信します。インボイスは、商品の受領後またはサービスの履行後、買い手の買掛金勘定システムで受信・処理されます。買掛金勘定(AP)の組織はインボイスを精査・承認します
(3)インボイスの期限の数日前に、APチームはEDI支払指図/送金通知書を作成し、買い手の銀行に送信します
(4)自動決済機関ネットワーク(ACH)経由で支払われます
(5)サプライヤーの銀行が支払いを受け取ると、支払いがなされたことをサプライヤーに知らせる別のEDI送金通知書が作成されます
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本連載は、『EDI再入門〜グローバル企業はどのようにビジネス情報連携の効率を高めているのか』から一部を抽出し、再構成したものです。現在、原本のPDFを無料でダウンロードが可能です。是非、全文をお読みいただき、EDIの理解をさらに深めてください。ダウンロードは、こちらから。
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