IT調査会社のIDC Japanは2015年2月5日、日本のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場に関する予測を発表した。IoT関連の売上高は、2014年の9兆3645億円が、2019年には16兆4221億円に達するとしている。
IDC Japanでは、IoT市場の構成要素として7つのテクノロジーを対象にしている。「インテリジェンスシステム/エッジシステム(以下IoTデバイス)」と「通信モジュール/通信回線/通信機器」「IoTプラットフォームソフトウェア」「アナリティクスソフトウェア」「IoTインフラストラクチャー」「垂直市場ソリューション/専門サービス」「セキュリティサービス」である。
このうちIoTデバイスの普及台数は、2014年が5億5700万台。年間成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)11.4%で成長し、2019年には9億5600万台になるとする。
7つのテクノロジー要素を合わせたIoT市場規模は、2014年が9兆3645億円、2019年には16兆4221億円に達すると予測する(図)。CAGRは11.9%である。
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IoT市場全体においてIoTデバイスが占める割合は、当初は8~9割に達する。だが、IoTデバイスのコモディティ化により2019年には7割にまで下落する。逆に、IoTデバイス以外のテクノロジー要素は2019年に2013年の約3倍にまで拡大するとみている。
IDC Japanコミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏によれば、国内IoT市場の成長促進要因は、事業者間の競争激化や、サービス利用コストの低廉化、通信/分析技術の向上、周辺環境の充実など。これらにより継続的に成長するとする。
特に2015年からは、「導入主体/形態の拡大」「導入目的の拡大」「導入機器/場所の拡大」の3つの方向にビジネスの拡大が加速し始めているとみる。
例えば、目的の拡大では、これまでのIoT利用が、組み立て/加工製造業と輸送、鉄道に限られていた。それが2015年からはエネルギー業界などにも広がっていく。電気料金の高騰やスマートメータの利用、電力小売りの自由化などを背景に、エネルギー関連のIoTへの注目が高まっているためだ。
加えて、「IoTに特化したプラットフォームの存在が大きく関わってくる」(鳥巣氏)といる。KDDIの「M2Mクラウドサービス」や、米GEの「 Predix」、NTTドコモの「docomo M2Mプラットフォーム」などである。
M2Mクラウドサービスは初期コストがほぼゼロのため、中小企業などにもIoTの門戸を広げる。Predixは製品の保守サービスの改善に焦点を当てている。docomo M2Mプラットフォームでは、グローバルな利用が可能になる。
鳥巣氏は、「短期的には特定の垂直市場から導入が進むだろう。ベンダーにすれば、IoTソリューションを試験的に導入できるような環境を積極的に提供することが勝ち残りの条件になる。中長期的には、グローバルなエコシステムにおける存在感を高めなければならない。加えて、関連法規制の改善に向けて業界一丸となったアクションが不可欠だ」と指摘する。
今回の発表内容は『国内IoT市場2014年の推定と2015年~2019年の予測』(J15040101、IDC)に詳細が報告されている。