富士通と富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は2015年4月14日、両社が共同開発した聴覚障害者参加型コミュニケーションツール「FUJITSU Software LiveTalk」を発表した。音声認識技術を活用して、聴覚障害者を交えた会議においてリアルタイムな情報共有を実現するソフトで、2015年5月中旬に企業や学校向けに販売開始される。
聴覚障害者の会議参加ハードルを引き下げる「同時発言への対応」
音声認識エンジンのみを用いるケースとの最大の違いは、同時発言への対応だ(画面1)。会議で複数メンバーが同時に発言した場合、音声認識エンジンのみでは変換されるテキストに複数の発言が混じってしまい、画面上のテキストが頼りの聴覚障害者は、コンテキストを追えなくなる。FUJITSU Software LiveTalkでは、メンバーが使うPC/マイクからメンバーの識別を行うので、そうした問題が生じない。「発言者がだれであるかの特定は、聴覚障害者が会議の内容を追う際に最大の手がかりとなる」(富士通 グローバルマーケティング本部 総合デザインセンター 部長 森淳一氏)ことから、製品化にあたって欠かせない仕組みだったという。
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FUJITSU Software LiveTalkの価格は1セット(5ライセンス)20万円、追加1ライセンス5万円(AmiVoiceの利用ライセンス料を除く)。2015年5月中旬から販売開始される。
説明会では、聴覚障害を持つ同社社員を交えた4人のメンバーによる会議において、スムーズにコミュニケーションがなされるさまが示された(写真2)。現状では、組織が用意できる無線ネットワークの帯域によって、リアルタイムな会議を行えるメンバー数に上限があることや、遠隔の場所やスマートフォンからの会議参加には対応していないといった課題もあるが、聴覚障害者にとっての会議参加のハードルを大きく引き下げる可能性を持った製品として期待できる。