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ストレージの比較点は速度か運用管理性か、米Tintriがオールフラッシュ製品投入

2015年9月25日(金)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

SDD(Software Defined Storage:ソフトウェア定義ストレージ)ベンダーの米Tintriが2015年9月24日、オールフラッシュの新製品「Tintri VMstore T5000」シリーズを投入した。SSD(Solid State Drive:半導体ディスク)とHDD(Hard Disk Drive)を組み合わせた“ハイブリッド”構成を強調してきた同社がT5000シリーズを投入した背景では、ストレージ製品における、どのような開発競争が起こっているのだろうか。

ワークロード最適化に向けた競争点はどこか

 一方でティントリは今回、同社の独自OS「Tintri OS 」とストレージ環境の管理ソフトウェア「Tintri Global Center(TGC)」の最新版を投入した。「Tintri OS 4.0」と「TGC 2.1」だ。

 Tintri OSは、仮想化環境でのストレージ利用を最適化することに主眼を置いたOS。アプリケーションの動作環境がVMwareやHyper-Vといった仮想化環境中心に移行してきたことを受けて、ストレージ容量やSSDとHDDの配置などをVM単位に最適化する。

 具体的には、ストレージの利用状況をモニタリングし、過去の利用傾向から直近の利用形態を予測し、提供するストレージ環境を調整する。ティントリジャパンの河野氏は「VMに完全対応できているのは、まだ当社だけ。他社がフルフラッシュを強調するのも、ここが完成していないからだ」と指摘する。

 Tintri OS 4.0では、フルフラッシュ環境での最適化を実現すると同時に、フルフラッシュ製品とハイブリッド製品が混在するシステム構成時にも、同様な最適化を図れるようにした。

 一方のTGCは、Tintri OS 4.0によって運用されているストレージ環境を管理するためのソフトウェア。最新の2.1では、最大16 万台のVMを単一管理で画面できるほか、フルフラッシュとハイブリッドが混在しても単一ビューで監視したり、ハイブリッド環境からフルフラッシュ環境にデータを移したりができる。最新版では、複数のVMをグループに分け、グループ単位でQoSを設定できるようにした(図1)。サポートできるVM数が増えれば増えるほど、ここにQoSを設定・管理することは面倒になる。

図1:Tintri Global Center(TGC)2.1におけるグループ管理の概念図1:Tintri Global Center(TGC)2.1におけるグループ管理の概念
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 同社によれば次のステップで、「このグループ管理の機能をさらに強化し、アプリケーション単位にまとめられるようにすることで、アプリケーションに最適化したストレージ環境が実現できるようにする」計画だ。

 アプリケーション単位の最適化に向けては、米IBMなどもストレージ機能のサービス化の延長に、特定のソフトウェア製品専用のインタフェースや、そこでの最適化などを開発対象に挙げる。加えて、ストレージ管理やシステム運用管理などを開発するソフトウェアベンダー各社も、ワークロード単位アプリケーション単位の最適化に製品開発の舵を切ってきている。

 アプリケーションとストレージ装置の間には、種々のミドルウェアやハードウェアが存在し、それぞれが、より高速に動作することを目指すため、相対的なボトルネックが必ず存在する。どこを監視し、どう最適化を図るかは、その視点によって対策も変わってくる。

 例えば、OSS(Open Source Software)のIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)用のソフトウェアスタックである「OpenStack」と「Cloud Foundry」では、役割分担が進み、OpenStackはあくまでもインフラ資源のマネジメントに徹し、アプリケーションレベルではCloud Foundryが動作を監視し、場合によってはIaaSそのものを切り替える方向に進んでいる。

 システム環境がSoftware Defined(ソフトウェア定義)に向かっていることは間違いがない。だが、それと同時に、あらゆる層のベンダーが、自身が得意としてきた分野を足がかりに、ワークロード最適化のエコシステムの中心になりたいと考えている。Tintriのフルフラッシュ製品と最新OSは、ベンダー間の開発競争が、従来の製品分野の枠に止まらず、場合によっては思わぬ相手とも対峙することを示していると言えそうだ。

 なお、Tintri VMstore T5000シリーズの価格は、T5080が7400万円(税別、以下同様)、T5060は5000万円。Tintri OS 4.0のライセンス価格は製品に含まれ、TGC 2.1は80万円からになる。

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