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SAPジャパン、日立、ESRIジャパンがビッグデータ活用基盤製品を共同開発

2015年11月10日(火)IT Leaders編集部

SAPジャパンと日立製作所、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)ソフトウェアベンダーのESRIジャパンは2015年11月9日、3社の製品を連携させ、社会インフラに関する将来予測を可能にするビッグデータ活用システム基盤を開発した。3社は同システム基盤の、実用化に向けた検証を実施した。

 3社が共同開発したビッグデータ活用システム基盤は、社会インフラに関する現在と過去の膨大なデータを基に、特定区域の混雑状況の予測など様々な将来予測を迅速に行い、地図画面上で即座に可視化する。

 今回のプロジェクトでは、インメモリーデータベースでのリアルタイムなデータ処理を行う「SAP HANA」と、日立の高速データベースエンジン「Hitachi Advanced Data Binder」(以下、HADB)、地理空間情報を活用した意思決定を支援するESRIのGISソフト「ArcGIS」を連携させ、将来予測をした結果を地図画面上へ表示するシステム基盤の開発・検証を行った。

 SAP HANAを用いてHADBに蓄積された膨大なデータを高速に処理するために、両製品の連携を可能にするアダプターを開発した。これをSAP HANAのデータ仮想連携技術の1つであるSDA(Smart Data Access)機能と組み合わせ、3製品がスムーズに相互連携するシステム基盤を構築した。

 SAP HANAに格納した現在の状況に関するデータとHADBに蓄積した履歴データを活用した将来予測を行い、現在の状況と将来予測の結果をArcGISの地図画面上で即座に表示できることを検証した。検証に当たっては、東京大学空間情報科学技術研究センターが提供する、約130万人分の移動履歴とその交通手段に関するデータ(個人を特定できない人流データ)を活用し、タクシーの最適配車を想定したシミュレーションを実施した。

 具体的には、まず、東京首都圏のある特定日時における人流データを現在の状況と仮定し、そのデータを基にSAP HANAで「現在の混雑箇所」を把握。そこから数十分後に移動する可能性が高い複数地点を、HADBに格納した膨大な履歴データの中から統計的に導き出すことで将来予測を実施した。これらの結果をArcGISの地図画面上に高速に表示できたという。

 今後、人流予測によるスムーズな都市交通インフラの実現のほか、最適な集荷・配送ルートの予測による広域物流業務の効率化、インフラ設備の故障予兆把握と保守点検ルートの最適化などへの活用を支援するとしている。

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