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[真のグローバルリーダーになるために]

【第22回】安値攻勢の裏側を相手の立場になって考える

2015年11月20日(金)海野 惠一(スウィングバイ 代表取締役社長)

香港での大型案件の競合相手は中国の大手IT企業である北京鳳凰。日本ITCソリューションの課長である佐々木は、香港支社副社長の森山と協業する三井商事の筒井とともに北京に飛ぶことにした。孫子の兵法に出てくる「正」と「奇」の話から「日本人は裏を読めない」という教えを噛みしめながらも、北京鳳凰の蘇総経理との面談で、どう切り出そうかと悩んだまま空港に着いた佐々木と森山は、合流した筒井に、そのことを質問したところ、筒井にはなにやら考えがあるようだった。

 筒井の「手を打つ」という言葉に反応した森山。彼の「何かいい方法があるのでしょうか?」との問いかけに筒井が答えた。

 「実は私も良いアイデアは思いつきませんでした。色々と策を考えてみましたが、我々の立場からでは相手の値引きに対抗できるような手が見つかりませんでした。森山さんのところの調査では7億香港ドル(約108億円)で入札してきそうだという話がありましたよね。実際には彼らが、いくらで入札してくるのかは分かりませんが、少なくとも最低予想金額よりも低く入れてくることは十分考えられます。そうなってしまったら、我々には勝ち目はないでしょうね。彼らに対抗しても利益がでません」

 「ということは、彼らが安値攻勢で入札してきたら、もうそこで勝負は終わりということですか?」と、森山は神妙な顔で筒井に聞いた。

 「そうです。仮に彼らが7億香港ドルで入札してきたとしても、我々は採算が取れるような応札はできません。

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