IoTやIndustry4.0が指し示すワンデータによるSCM改革【第3回】
2015年12月14日(月)慶山 順一(シグマクシス プリンシパル)
前回は、需要予測・需要計画におけるワンデータ・トランザクションの可能性について言及した。今回は、昨今話題のキーワードである「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」、あるいは「Industry4.0」によってもたらされる製造業および製造現場におけるワンデータ・トランザクションの価値について考えてみる。
IT専門誌に限らず、ビジネス誌においても「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」や、ドイツが産官学一体で推進する第4次産業革命プロジェクト「Industry4.0」といったキーワードが踊っている。これらが製造業のSCM(Supply Chain Management)にどんな影響を与えるのか。それを考える前に、まずはそれぞれが示している範囲について、若干の整理をしておこう。
IoTは、文字通りセンサーなどを組み込んだ“モノ”をインターネットに接続し、それ自体の動きや状態に関する情報を発信させることで、得られた情報を集約し様々な分析に活用しようというコンセプトである。ここで言う“モノ”とは、まさにあらゆる物が対象で、個人が身に着けるウェアラブル端末もあれば、自動車、あるいは製造業においては各工程に並ぶ機械類なども含まれる。
機械が発する情報と聞くと、古くはM2M(Machine to Machine)というキーワードがもてはやされたことを思い出す読者も多いと思う。機械が持つ各種データの活用という意味では、IoTとM2Mは同義にも聞こえる。だがIoTは、センサーの小型化・高機能化と、インターネットというオープンなネットワーク環境という要素を組み合わせることで、より広い範囲からのデータの収集と活用、すなわちビッグデータのビジネスへの活用を可能にするコンセプトだと言える。
ステークホルダー全体のデジタル化に進む
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一方、Industry4.0は、IoTやM2Mの仕組みを土台に、製造業の新たな姿を描き出すコンセプトであり、そのための取り組みである(図1)。
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