企業は何のためにデータを活用するのか―そう問いかけるのは分析ツールを開発する米クリック・テクノロジーズ(Qlik)で変革および開発担当副社長を務めるドナルド・ファーマー(Dnald Farmer)氏だ。氏によるとその答えは「説得するため」だという。分析ツールはまさに、人を説得するための材料を作りだすツールだが、「人を説得するのはそう簡単なことではない」。なぜなら「人はEmotion(感情的)に物事を判断しがち」というのが氏の見解だ。クリックテックでは、そんな人の性質を分析ツール開発に反映させているという。
ドナルド・ファーマー氏が所属する「イノベーション&デザインチーム」は、市場や技術が3年後、5年後、あるいは7年後にどう動いていくのか、その変遷を予想し、将来のための新しい製品開発につなげる動きを行っている。そのために、人間の行動が技術の変遷とともにどのように変わっていくのかもリサーチしている。
その中からファーマー氏のチームが発見し、製品作りに生かしているのが「人」と「データ」の関わり方の秘密だ。例えば、「人はビジネス上でなぜデータを活用するのか」と問いかけてみる。その答えの1つが「ほかの人たちを説得するため」だ。
新しい方針を打ち出したい、新しい提案を行いたい、あるいはビジネスを変えていきたい。その理由や内容を人々に説得するために、ビジネスパーソンはデータを活用している。企画会議や経営会議のために必死になってグラフや図を作成する行動は、その典型的なものといえる。
しかし、そのプレゼンテーションが上手くいったとしても、上役はグラフや図に表されているデータそのものの力で納得したのではない、というのがファーマー氏の考え方だ。グラフや図表で数字を見て判断する行為は、一見論理的と見える。しかし、「人はデータを使って判断するとき、多くの場合、まったく論理的ではない感情的な要因によって意思決定している」というのだ。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >