インターネット上にセキュアで使いやすいプラットフォームを構築。その上にIoT(モノのインターネット)に関わる様々な仕組みを実装したり、中堅・中小企業が商談の場にしたり、例えばマイナンバーに関わる市民サービスを提供したりする──こんな”次世代インターネット構想”が日本で進もうとしている。夢物語にも思えるが、そうとも言えない。欧州がすでに「FI(Future Internet)WARE」というプラットフォームをリリースしており、その日本版を作る試みだからだ。
「IoTや住民サービスに必要なプラットフォームをどうするべきか。民間による自由競争は大事だが、セキュリティやプライバシーといった重要な問題を担保しないといけない。だからこそ国が責任を持って、非競争領域でプラットフォームを作っていく」(平井たくや衆議院議員=自民党IT戦略特命委員長)。
インターネットが偉大な発明であることは論を要しないにせよ、一方で信頼性や安全性に大きな問題があることも確かだ。特にセキュリティの確保は結局のところ、いたちごっこにならざるを得ない。必然的に今後、進展が予想されるIoTやFintechの取り組み、あるいは市民向けのヘルスケアや自治体のサービスなどを、現在のインターネットに実装することを想定すると、不安がつきまとう。この問題を完全に解消できないまでも、緩和するにはどうすればいいか?
冒頭の平井議員の発言は、これを払拭する取り組み─サービスプラットフォームの構築(図1)─に言及したものだ。インターネット上にセキュリティを確保したプラットフォームを構築し、その上に必要なサービスを実装できれば、例えばセキュリティ人材が足りない中堅・中小企業でもIoTに取り組みやすくなる。そんなことができるのか、と見る向きもあるかも知れないが、実はこれには実践例がある。EU(欧州共同体)が2011年から取り組んできた「FIWARE(Future Internet WARE)」である(https://www.fiware.org/)。
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FIWAREは、スマートシティ構築に向けたクラウドプラットフォームの一種。比喩的に言えば、民間企業が運営するAWSやAzure、Facebookのようなクラウドプラットフォームの”公共版”と捉えることができる。交通、エネルギー、医療などスマートシティに求められるサービスの実装はもちろん、例えば中堅・中小企業が自らデータをコントロール出来る形でIoTに取り組めるようにすることが目的だ。
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